世界の富裕層が注目「究極のポルシェ」日本へ 一見すると昔風でも中身は超絶「4億円の911」

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シンガービークルデザインの創業は2009年。「そもそも911に強く惹かれたのは、私が子どものとき、家族で出かけた南仏でのドライブでした」とディキンスン氏は笑顔で語る。

「父のフォルクスワーゲン・ビートルに乗ってオートルートを走っていると、後ろから911がやってきたのです。それを見て私は“なんてすごいクルマなんだろう!”と雷に打たれたような衝撃を受けました」

ロックミュージシャンとしても活躍していたディキンスン氏(筆者撮影)
ロックミュージシャンとしても活躍していたディキンスン氏(筆者撮影)

その後、クルマの世界へ進もうと、学校では自動車デザインを専攻したディキンスン氏。それでも当時は、ロックミュージシャンになるか自動車デザイナーになるか、迷いがあったそうだ。

シンガービークルデザインの“シンガー”とは、キャサリン・ホイール(Catherine Wheel)なるイギリスのロックバンドでボーカリストを務めていた自身のキャリアと、「911のエンジン音が歌のように聴こえることから」とディキンスン氏は『Forbes』誌のインタビューで答えている。

「自分の911」へのニーズがビジネスに

「学校を卒業して自分の思いどおりに改造した911に乗っていたところ、“同じように自分のクルマを仕上げてくれないか”と、声をかけられたのをきっかけに、オーダーがくるようになりました。その台数が10台を超えたとき、“もっと多くの人が、自分と同じような911を欲しがっているのでは?”と、ビジネスへ舵を切りました」

成功の要因は、単に古いポルシェのレストアとチューニングにとどまらず、「独自の価値観を入れたこと」とディキンスン氏は分析する。

グリーンのカラーリングも「当時っぽい」ターボ・スタディの一例(写真:Singer Vehicle Design)
グリーンのカラーリングも「当時っぽい」ターボスタディの一例(写真:Singer Vehicle Design)

「かつて深く愛されたもの(クルマ)を今、真剣に、高い技術で、現代にも合ったように手を入れ、当時を知らない人にも受け入れてもらえるように“リイマジン”する。このアイデアが功を奏したと思います」

これこそが「なぜ昔の911にこだわるのか」という問いに対する、ディキンスン氏の答えだ。

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