「アップルが(異例の)値下げに踏み切ったのは、消費者の購買意欲を刺激して市場シェアを奪回するためだ」
そう解説するのは、市場調査会社カウンターポイントのシニアアナリストを務めるアイバン・ラム氏だ。
中国の個人消費はこのところ回復傾向にあるものの、消費者は高額の出費に慎重になっている。そのためアップルは、(ハイエンド商品であるiPhone の)適度な販促を通じて潜在需要を引き出す必要に迫られた。
アップルにとって予想外の誤算は、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)がスマホ市場に劇的なカムバックを果たしたことだ。ファーウェイは2023年8月、自社設計の5G(第5世代移動通信)半導体を搭載したハイエンドスマホ「Mate 60シリーズ」を発売。中国のスマホユーザーの間で爆発的な人気を博した。
(訳注:ファーウェイはアメリカ政府の制裁の影響で、2020年秋から3年近くにわたり5Gスマホの新製品を投入できなかった。詳しくは『ファーウェイ「自社設計チップ」搭載拡大の衝撃』を参照)
ファーウェイ復活で思わぬ痛手
その後、ファーウェイはミドルクラスの「nova 12シリーズ」、ハイエンドの「Pura 70シリーズ」など、5Gスマホの新製品を続々と発売。同社の全面復活により、中国スマホ市場の構図は大きく変わった。
IDCのデータによれば、中国市場における2024年1~3月期のメーカー別市場シェアは、首位が栄耀(Honor)で17.1%、第2位がファーウェイで17.0%、第3位がOPPO(オッポ)で15.7%、第4位がアップルで15.6%、第5位がvivo(ビボ)で14.6%となっている。
ファーウェイが2023年10~12月期の第4位(市場シェア13.9%)から順位を2つ上げたのに対し、アップルは首位(同20.0%)から3つも順位を下げた。IDCの郭氏は、ファーウェイの躍進がアップルに与えた影響をこう分析する。
「復活後のファーウェイの売れ筋はMateシリーズやPuraシリーズなどのハイエンド機種だ。ミドルクラスはあまり売れていない。それだけに、ハイエンド市場で競合するアップルが最も大きな痛手を受けた」
(財新記者:覃敏)
※原文の配信は5月29日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら