"梅クライシス"日本一の産地で収穫量急減のなぜ 南高梅の産地・和歌山県、梅農家が悲鳴

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そのうえで不作の要因は、開花(例年2月)前の気温が平年よりも「2度ほど高かった」ことを挙げ、前回不作の2020年と類似しているという。暖冬で開花が早まり、「咲いたばかりの花に雌しべがない、枯れているなど不完全な花の数が多かった」と分析している。

中央部分に雌しべが確認できない不完全花と正常な花
中央部分に雌しべが確認できない不完全花(左)と正常な花(右)(写真:うめ研究所提供)

綱木研究員は、今年のように開花前に暖冬になってしまう事態は今後も「発生するだろう」と指摘。その背景には、気候変動の影響があるとしたうえで、世界中でさまざまな農作物が影響を受けているように「梅も例外ではない」と語る。

研究所では、高温や乾燥に強い品種改良に取り組んでいるが、長い期間を要する。「桃栗3年柿8年」と言われるが、梅の場合、経済価値を生む樹木に成長するまで10年程度かかるという。

温暖化の影響を最小限に抑えるために

自然に囲まれて作業している真造さんは、地球温暖化の影響を「切実に感じる」と話す。

真造さんの梅農園は、太平洋の海岸線から5キロほど入った場所にあり、比較的温暖で土質もよく、南高梅の栽培に適していた。

しかし、以前は気温が低く梅栽培に向いていなかった内陸の山間部の地域が、最近では適地になりつつあることを、関係者の多くが感じているという。

とは言え、手をこまねいているわけにはいかない。

真造さんは、梅の栽培だけでは将来的に厳しくなることも予想されるため、より温暖な地域に適した作物の研究を提案している。具体的にはアボカドなど高収益で、かつ国内であまり作られていない作物の栽培だという。

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