「超円安」で打撃、ニトリ、100円ショップの逆境 似鳥会長「1ドル160円を前提に商品を開発する」
一方で、似鳥会長は1ドル=160円を前提とした商品開発の方針も明らかにしている。原材料と生産地を見直し、仕入れ高を抑えながら、商品に磨きをかけていく。
具体的には、質感や美しさを重視した商品など高価格帯の商品を投入する。例えばカーテンは、生地をプリントではなく織って模様を形成した高級感のある商品を開発。従来の2900~3900円よりも高い、7900~9900円の価格帯で投入する。
すでに店舗で実験的に販売しており「意外と売れる」(似鳥会長)ため、これから本格的に販売を広げる考えだ。
超円安に悩むのはニトリだけではない。100円ショップも、従来は100円で実現できた品ぞろえを見直さざるをえない状況だ。業界第2位、セリアの河合映治社長は「当社は傘を長年扱ってきたが、(利益を確保できる)原価に収まらなくてやめた」と語る。
100円以上の商品を扱う競合他社もあるが、セリアは100円の商品に特化して展開している。そのため、前期は1ドル=150円のレートに対応した商品へ、1年かけて入れ替えを進めた。
「第4四半期(2024年1~3月)は前年同期に比べて粗利率が改善した。1年かけてようやく改善の効果が表れてきた」(河合社長)。円安への対応は、一朝一夕に進むものではなさそうだ。
消費者の節約需要をつかめるか
一方、100円以上の商品を扱う会社も苦しい。「ワッツ」「ミーツ」などを展開するワッツの平岡史生社長はこう打ち明ける。
「商品を作るための仕入れも、原価も高くなり…。無理矢理100円でやろうとすると、粗利益率を減らさざるを得ない。経営として(100円の商品は)一定量以上はできない」
100円以上の商品に対して消費者の抵抗感がなくなり、ニーズが出てきたという見方もあるが、商品開発上の問題はやはり大きいようだ。
あらゆる商品の値上げが相次ぎ、消費者の節約志向は高まっている。「お、ねだん以上。」を掲げるニトリも、100円ショップにも商機はある。厳しい仕入れ環境の中で、どのように商品を開発し、集客増につなげるのか。超円安の試練は、小売業としての腕の見せどころだ。
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