つねににこやかな友広さんもバイクやスキーを愛する趣味人で、大学卒業後は東京都内で20年以上一人暮らしをしていた。現在はIT企業で管理職として働いているが、30代半ばからは同じ会社で中東での大規模プロジェクトに参加していたと振り返る。
「海外で働いてみたかったので手を挙げました。3カ月ほど長期出張して帰国することの繰り返しです。危険手当ももらえます。私としては気に入っていた働き方で、5年間ほど過ごしました」
ツルンとした表情で語る友広さんだが、その頃にバイクつながりで付き合っていた同い年の彼女もいた。彼女は結婚を意識していたようだが、友広さんは「まだ独身でいいかな」と思いながらの出張ベースの日々。そのうちに彼女から連絡が来なくなった。
「バイク仲間の延長ぐらいに思っていたのがよくなかったのでしょう。(自然消滅という形でフラれたことに)腹落ちする感覚がありました」
腹落ちするのは仕事だけにしましょう、と突っ込みを入れたくなるのは筆者だけではないだろう。しかし、友広さんは反省して婚活をするどころかますます仕事や趣味に没頭。そのうちにコロナ禍が始まる。
「誰にも会えなくなってさすがに焦りました。私は人嫌いなわけではないので……。飲み仲間の一人が経営している結婚相談所に入会したのが2022年の10月だったと思います」
夫と妻、それぞれが結婚相手に求めていた条件
自由を愛するサラリーマンである友広さんが結婚相手に求めたものは3点。対等な共働きができること、海外が好きであること、できれば子どもが欲しいので自分より5歳以上若いこと、だ。海外案件を任されるような40代前半の正社員男性としては無理のない要求である。実際、結婚相談所で20人ほどとお見合いした中に恵美さんがいた。
子どもの頃にアメリカに住んでいた経験がある恵美さんは帰国子女枠で都内の私立中に入学。大学では薬学部に進学した。薬剤師の資格も生かして現在は外資系の医療関連会社で働いている。結婚して子どもを育てたいという気持ちもあり、30代前半までは親づてで医師や歯科医師の男性とお見合いをしたこともあった。
「その人が開業している地方で住むことが前提でしたね。私は今の仕事が好きで、当時は在宅ワークなどの選択肢もありませんでした」
その後はマッチングアプリやネットの結婚相談所にも登録するが、恵美さんが求めるような誠実な男性とは巡り合えなかった。
「4歳年上の方とマッチングして、1年ほどお付き合いしたことはあります。でも、最初は『子どもがいる生活もいいよね』と話していたのに、付き合い始めたら『子どもはいらない』と言われたりして、不信感がありました。風俗店に行っていることもわかったりして……」
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