「うつ病で休職」回復に効果的な"心の休ませ方" 働けないことへの劣等感や罪悪感を遠ざける

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人によっては、思考力や決断力、集中力の低下を感じることもあるし、何かトラブルがあると自分を責めるようになります。体に現れる症状としては、食欲がなくなったり、眠れなくなったり、だるさを感じるようになったりします。

うつ病には、定型的うつ病の他に、「神経症性うつ病」というタイプがあります。神経症性うつ病は、定型型と異なり、情緒が不安定で社会性に乏しい人に多く見受けられます。社会に出てからというより、幼い頃から否定的な体験を多く積み重ねることによって不安心が大きくなったと考えられます。

神経症性うつ病は、「長く続く軽いうつ状態」ととらえられていますが、私は、「心の中が否定的な思考や感情でいっぱいになった状態」と考えています。症状としては、知覚過敏症状や自律神経症状、過眠、過食などが特徴です。

他者との比較が「うつ病の種」を生んでしまう

定型的うつ病も、神経症性うつ病も、不安心のなかに生まれる病の種は、「劣等心」や「微小心」です。劣等心も微小心も、他者や自分の理想像と比較して、いまの自分が劣っているという感情から生まれます。比較するところは、容姿、仕事や学校の成績、性格、社会的地位など、人によってさまざまです。

いまは、劣等心や微小心の種が生まれやすい時代です。というのは、昔に比べると便利で豊かな時代になり、それが基準になってしまったからです。そして、比較の対象となる情報が、世の中にはあふれているからです。

いろいろなものが簡単に手に入ることでありがたみを感じることが少なくなっているうえに、スマホを見たり、パソコンで検索したりすれば、まだ手に入れていないものや生き方などが、否が応でも目に飛び込んできます。周囲と比べると、どうしても自分の人生や存在が、平凡でつまらないものに見えてきます。人によっては、惨めさを感じることもあるでしょう。

さらに、会社でも、学校でも、もしかすると家までもが結果主義で、どれだけがんばっても結果が悪ければ、評価されないことがあります。その評価で「あなたはダメ」「あの人のほうがあなたより優れている」などと言われれば、「自分には価値がない」「自分はダメな人間」だと思ってしまうのも仕方がありません。

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