「勉強しなさい」は偏差値を下げる呪いの言葉 子どもを勉強嫌いにする「親の5つの言動」

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もし、今勉強から心が離れているとしたら、一旦、子どものレベルにあった内容に落としていく必要があります。そのほうが、復活が早いです。

(5)大人が子どもに「できない子だね」「〇〇は苦手だな」と勉強に関してネガティブな発言をする

子どもの感受性は大人が思っている以上に強いことを知っておく必要があります。子どもの心を無視して、土足で心に踏み込んで、平気で傷つくような言葉を使う大人も世の中にはいます。基本的に、聞いていて心地悪い気分になる言葉は使わないほうが無難です。このような言葉を継続して使われると、いつしか子どもをできない状態に“洗脳”しかねません。

ネガティブな言葉は、自分で言っても心を蝕む

一方、子どもの中には自分を卑下してネガティブ発言をする子もいます。かつて中学生を指導していたときに、ネガティブ発言をよくする子がいました。「僕は数学が苦手でできない」と頻繁に言っていたのです。そのようなときに、ただ「ネガティブな発言をすることは良くないよ」と言っても効果はありません。そこである会話をしたら、その後は一切言わなくなり、前向きに勉強に取り組み、数学がぐんぐん伸びていきました。それが次の会話です。

先生:「先生が君に会うたびに『君は数学苦手だね』『数学全然できるようにならないね』と言い続けたらどうなると思う?」
生徒:「どんどんやる気がなくなって、できなくなる気がします」
先生:「君はそれを自分でやっているんだよ」

この会話ではネガティブ発言をやめることを伝えていません。「こうしたらどうなると思う?」という問いかけだけです。これで子どもは実感できたようです。ネガティブな言葉は大人によっても、自分で言っても、心を蝕んでいくことがわかると思います。

以上、子どもを勉強嫌いにさせる5つの項目についてお話ししてきました。このうち複数個を継続して行えば、ほぼ確実に勉強嫌いな子が誕生します。そうならないための対策は、ただ一言、「やらない」というだけです。

勉強好きにする必要はありません。勉強嫌いにさせないことだけを考えてみてください。すると子どもは、自力で勉強するようになっていきます。

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石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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