そもそも、なぜ勉強嫌いな子が出てくるのでしょうか。
理由や背景はさまざまですが、筆者がこれまで4500人以上の小中学生を指導してきて感じたことは、「勉強嫌いな子は子ども自身で勝手にそうなったのではなく、大人によって作られた可能性が高い」ということでした。大人とは先生や親です。大人もわざわざ勉強嫌いな子を作ろうとは思っていませんが、無意識のうちに日常生活の中で次の5つのことをしてしまうと、勉強嫌いな子を“自動的”に作っていくことになります。
宿題にまつわる相談は少なくありません。「うちの子、宿題を自主的にやらなくて困っています」という趣旨の相談です。そのような質問を受けると、筆者は決まって次の質問をします。
「その後、どのような対応をされるのですか?」
すると、イライラして怒り口調で言い合いになりますというケースがほとんどです。このような状態が続くと「宿題=ネガティブ」という印象を子どもに刻印することになり、仮に宿題を嫌々ながらやったとしても勉強の成果はほぼ出ません。
学校や塾でも宿題をやってこない子を怒る先生がいます。子どもに必要なことは怒ることではなく、どうすれば宿題ができるようになるかというアプローチなのです。それを一緒に子どもと考えていくのが先生や親の役割なのですが、単純にやらせることだけに焦点を当ててしまい、怒ってばかりいれば、子どもは先生や親への不信感だけでなく、勉強そのものからも離れていきます。
「勉強は強制的にやらされるもの」という印象が一度ついてしまうと、その後自主性を発揮させることは困難になります。子どもは無理やりやらされたことを素直にやる機械のような存在ではありません。人格と心をもった一人の人間です。心を動かさずに、行動ばかりを変えようとしても効果は出ません。
「勉強しなさい」は呪いの言葉
また、強制的にやらせるときに使用する言葉、「勉強しなさい」という声かけがあります。この言葉を筆者は35年前から「呪いの言葉」と称し、保護者面談で次のようなお話をしてきました。
「1回勉強しなさいと言うと、そのたびに偏差値が1下がるのでやめたほうがいいです」
もちろん実際に偏差値が1下がるわけではありませんが、イメージとして話していました。
「〇〇しなさい」が、効果がないことを実感できる別のエピソードもあります。例えば、パートナーから「早く料理しなさい」と言われたらどのような気持ちになるでしょうか。おそらく快く料理はしないはずです。それよりも、「今日の料理、とても美味しかったよ」と言われたら、また作りたくなるのではないでしょうか。人間の心というのは、このように動いています。
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