「大麻常用」がアルコールを上回った米国の大誤算 「大麻合法化で飲酒被害軽減」の理屈は崩壊
アメリカ人が常用する薬物として、大麻がアルコールを記録上初めて上回った。
学術誌『アディクション』に5月22日に掲載された研究によると、2022年に「大麻を毎日、あるいはほとんど毎日使用している」と答えた人は1770万人だったのに対し、同じ頻度で飲酒していると答えたのは1470万人だった。分析は「薬物使用と健康に関する全米調査」のデータをもとに行われた。
大麻の常用は30年で15倍に増加
大麻を使用する人より飲酒する人の方がはるかに多いとはいえ、頻繁に飲酒する人の数は約15年前に比べてわずかに減少していることが研究で明らかになった。反面、大麻を頻繁に使用するアメリカ人の割合は、日常的な大麻の使用が最低となった1992年からの30年間で15倍に増えている。
大麻の合法化も90年代以降急激に加速し、現在、娯楽目的での使用は24の州と首都ワシントンD.C.で、医療目的での使用は38の州とワシントンD.C.で合法となっている。
過去30年間で大麻の頻繁な使用が急激に広まったのは、世の中で大麻の受容が進んでいることに部分的に起因している可能性があると、カーネギーメロン大学で公共政策を教えるジョナサン・P・コールキンス教授は話した。調査データは自己申告によるものであるため、人々は自身の大麻使用頻度を開示することにあまり抵抗を感じなくなった可能性もある。
それでも、「ほぼ毎日のように大麻を使っている人たちにとって、それが健康増進につながるとは思えない。一部の人たちには、本当に有害なものになる」と同教授は付け加えた。