同志社大学・太田肇教授の新モチベーション論(第6回)--承認が「安定した出勤意欲」につながる
次に、推薦された者は病院内の選考委員会で審議される。なお選考委員会は、病院長の指名する者若干名、それぞれのグループから各2人、接遇向上委員会から2人の委員によって構成される。推薦対象者は推薦理由が記載された推薦書を提出する。
それを受けて、選考委員会では候補者の検討を行い、結果を病院長に提言する。最終決定は病院長が行い、仕事納めなどの機会に病院長が表彰する。
以上が表彰までの大まかなプロセスである。
2010年度受賞者のうち何人かの受賞理由を紹介しておこう。
●Aさん(事務部)
業務改善に積極的に取り組み、わかりやすい情報発信と手続きの簡素化など、さまざまな有益な提案をしている。特に看護師募集の活動のデータ管理に貢献し、募集活動を円滑なものにしている。
●Bさん(看護師)
病棟における退院支援係として日夜奮闘し、円滑な病床管理に貢献している。関連部門のスタッフ、患者、家族との対応もすばらしく、後輩のよき手本となっている。
●Cさん(医師)
仕事は着実・丁寧であり、コミュニケーション能力にも秀で、誠実に意思を表現し、誰に対しても分け隔てなく接する。仕事と育児の両立でも頑張っている。
●Dさん(医療職員)
呼吸療法サポートチームの中心として、入院患者の適切な呼吸管理に貢献している。研修医、看護師、一般職員に対する院内蘇生教育も積極的に推進している。
先に紹介した研究結果でも、看護師はプロとしての能力や日頃の仕事ぶりを理解している上司、同僚などから認められると、それが仕事意欲や勤続意欲につながることが明らかになっている。看護師以外の職員についても、能力や仕事ぶりが理解できる人たちからの評価と、それに基づいた表彰制度はモチベーションアップに効果のある取り組みだといえよう。
おおた・はじめ
同志社大学政策学部教授。日本表彰研究所所長。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。京都大学経済学博士。滋賀大学教授などを経て2004年より現職。著書に『「不良」社員が会社を伸ばす』『認め上手』など多数。
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