中国政府の「不動産買い取り政策」は簡単ではない 6年ぶりの「上海ウォッチング」で考えたこと

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ともあれ、心を病む人が出たとしてもまったく不思議はない過酷な状況であった。現地駐在員も、お酒が入ったときなどはつい「あのときはねえ……」という言葉が漏れたりする。他方では、ロックダウン期間中は住民同士が配給品を交換するなど、同じマンション内でも「自治の精神」が強まったという証言も耳にした。

さっそく上海市内を見物して回る。高速道路を行き交うクルマの群れを観察すると、「目の子」で3割から4割程度のクルマがグリーンのナンバープレートである。これすなわちEVを意味している。普通のガソリン車のプレートは濃いブルーなのである。

EV高普及率に納得、今はバッテリー交換業者が乱立状態

6年前の上海の路上は、グリーンのナンバーはせいぜい全体の1割程度にすぎなかったから、いかにEVが増えたかということになる。この間にいったい何が起きたのか。

上海でクルマを手に入れるときには、ドライバーはクルマに乗る権利を10万元程度(現在のレートで約220万円)で買う必要がある。それに加えて車両価格を払うわけだから、クルマの保有はまことに高くつく。ところがEVを買う場合は、その権利金がいきなりタダになってしまう。それなら誰だってEVを買いますわなあ。しかも当たり前の話だが、燃料費はガソリン代よりも電気代のほうが安いのである。

ただしEVがここ数年で急に普及したせいで、「充電装置の前にクルマの行列ができてしまう」なんて現象も起きている。充電装置が足りないということで、上海のような大都会はともかく、地方都市ではEV離れが起きている、なんて話も聞くところだ。

筆者などは、「EVは中古車価格が心配」と思ってしまうのだが、そもそも中国人ドライバーには「クルマは資産」という発想が薄いらしい。ただし電池が劣化したときのことはさすがに皆が考えるので、すでに「バッテリーの交換業者」が乱立しているとのこと。機を見るに敏とはいえ、何でも過当競争になってしまうのは中国経済の常である。

お上が「次はこの産業だ!」と言えば、民間企業がどっと参入してきて、EVでも電池でも再エネ事業でもすぐにレッドオーシャンになってしまう。「中国経済の過剰生産能力」は、こんな風にして生じるのである。

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