マイクロソフトがAI搭載「Copilot+ PC」投入の意 ライバルは「MacBook Air」、新たに始まるPC競争

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NPUとはAIの推論処理に特化した機構のことだ。AIの推論はCPU処理では効率が悪く、今はGPUが使われることが多い。だが、GPUであっても「推論の演算」だと効率的でない部分があるので、より最適化した機構が必要になる。それがNPUだ。

NPUの搭載はスマートフォン向けのプロセッサーから始まり、PC向けは後手に回っていた。スマホの写真処理や音声認識などは主にスマホ内蔵のNPUで処理されており、今後さらに活用が進む。先日もGoogleはAndroidに自社AI「Gemini」の統合を進めると発表していて、6月の開発者会議でアップルもAIに関するなんらかの施策を発表するものと見られている。

Copilot+ PCが要求する40TOPS以上という値は、スマートフォンなどに搭載されているNPUより強力なものだ。先日発表された「iPad Pro」に搭載されたNPUが「38TOPS」なので、それよりも上を求めていると考えればいいだろう。

ライバルはMacBook Air、新たに始まるPC上の競争

Copilot+ PCが必要とする「40TOPS以上のNPUを搭載したWindows PC向けのプロセッサー」は、現状クアルコムの「Snapdragon X」シリーズしかない。

Copilot+ PCを実現する最初のPC用プロセッサーとなる「Snapdragon X」(筆者撮影)

PCといえばインテルやAMDが供給する「x86系」が思い出されるが、Snapdragon Xシリーズは「ARM系」。x86系のWindowsアプリを動かすにはエミュレーションが必要だ。マイクロソフトはアドビやSpotifyなどと協力してARM版アプリを増やしており、「日常的な業務の90%はARM版アプリで行える」としているが、動作速度と互換性の面でリスクを抱えているのも事実である。

互換のリスクはアップルが2020年に乗り越えたものだ。

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