だがオンデバイスAIの場合、処理は機器の中で完結するため、情報はクラウドに流れない。Recallの例で言えば、どんな作業が行われていてどんな画面が写っていたかは、あなたとあなたのPCしか知らないわけだ。
実はこれには落とし穴もあって、オンデバイスであるかクラウドであるか以上に「サービスが情報の扱いをどう設計するかでプライバシー要件は変わる」というのが正しい。
ただ少なくともRecallについて、マイクロソフトは「プライバシーに関わる情報は収集せず、AIの学習にも利用しない」と明言しているので問題はないだろう。もちろん、記録されたくないときは止めることもできる。
重要なのは、プライバシーを保持するためにオンデバイスAIが必要、とマイクロソフトが判断したということであり、そのためにはPCが使っているプロセッサーにも新しい機能が必要になる、ということだ。
オンデバイスAIをWindowsの一部に
RecallはCopilot+ PCが持つ機能の1つに過ぎない。
マイクロソフトはCopilot+ PC向けのWindows 11に「Windows Copilot Runtime」というレイヤーを設けた。
これは簡単に言えば、オンデバイスAIを扱う40以上のAIモデルをまとめ、PC上で使えるようにする仕組みだ。
RecallもWindows Copilot Runtimeを使っており、今後Windowsに搭載されるAI関連機能でも多用されていく。
Windows用アプリの開発者も利用できる。今までAI開発というとクラウド側が主軸になったが、OS側での準備を進め、「オンデバイスAIでPCの価値を高めていく」ことが狙いである。
これはマイクロソフトにとっては「Windows 11の再設計(Rearchitected Windows 11)」とアピールしたいほどの新要素なのだ。
では、Copilot+ PCは、どんな条件を備えたPCなのだろうか?
マイクロソフトは3つの条件を挙げる。
メインメモリーは16GB以上でストレージとしては256GB以上のSSD。これは、現在販売されているビジネス用PCを見てもそこまで過大な要求ではない。
だが、3つ目の条件である「40TOPS以上の処理能力を持つNPUを搭載していること」という点が大きい。
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