仕事できない人ほど「頭がいい」に憧れる納得の訳 成果につながらない「頭がいい人」の呪いに注意

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なぜそのような事態が生じてしまうのか。私なりにその原因を探っていきます。

「頭がいい人」に反応してしまう2つの心理

まず、なぜビジネスパーソンは「頭がいい人」に反応するのでしょうか。その背景にはビジネスパーソンが持つ2つの心理があると思っています。

①「こいつはバカだ」と思われる恐怖

②「自分はエリートだ」と認められたい欲求

経験上、若手ビジネスパーソンはとりわけ①の傾向が強いと感じています。職場の同僚や上司から「コイツは賢くない」と思われることをとても嫌います。

ですから入社1年目や若手ビジネスパーソンの研修では、(私としては半分冗談のつもりで)「このフレーズを言うと頭がよさそうに思われるよ」「こういう言い回しを覚えておくと印象がいいよ」という話題を持ちかけます。

いくつか例を示しておきます。

・割合(%)に数字を見たとき
→サラリと「この数字の分母が何かを正確に教えてください」と言ってみる
・平均値という数字を見たとき
→サラリと「平均値の他に中央値、最頻値、それから最大値と最小値も把握したいのですが」と言ってみる

こんなちょっとしたフレーズを言うだけで、なんだか数字に強そうな人っぽく見えるものです。このような「小手先の話」を、彼らはとてもありがたがります。

彼らにとっては成果を出すことよりもずっと大切なことがあります。とにかくまずはバカにされないこと、仕事がデキる人っぽい印象を持ってもらうことがとても大切なのです。

逆にベテランに近づくにつれて②が色濃くなります。特に意識が高くたくさん勉強をしてきた人ほど、自分はデキる、知っている、ビジネス偏差値が高い、ということを確かめたい欲を持っています。

ですから私は管理職やベテラン社員の研修においては、「よくご存じですね」「勉強されていて素晴らしいですね」という承認の言葉をできるだけ使うようにしています。

少しばかり乱暴なことを申し上げるなら、彼らは何かを勉強したいのではなく、講師から「承認の言葉」を言ってほしくて研修に参加しているのです。

しかし個人的には、これらの特徴はあまり好ましいものだと思っていません。本来、「頭がいい(悪い)」なんてどうでもよいことです。

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