5浪で悟った「身の程」早大卒の彼が捨てた拘り 苦学の道を余儀なくされ、新聞配達を続ける

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「とにかく1人になりたかったんです。そのために東京に出たいと思っていたのですが、当時、父親が勤め先を辞めて、家計がきびしくなっていました。家出する手段を考えていましたが、生活費も生活していくあてもなかったので、どうしようかと考えていました。

そう思い悩んでいた高校3年生のときに見つけたのが、新聞配達をしてお金をもらいながら予備校に通える、朝日新聞の奨学生募集の記事でした。浪人しても、予備校生でも採ってもらえるので、落ちたときのことを考えてすぐに応募しました」

「落ちたときのこと」と語るように、高校3年生の段階ですでにホリ・ホーリーさんは浪人を覚悟していたようです。

高1の段階で理数系を諦めて文系3教科の勉強に絞ったものの、高校に入ってからの成績は真ん中より下くらいに下降。当時の学力は早稲田には到底届かなかったようで、模試の偏差値は50未満でした。

「早稲田・慶応・上智・立教・青学……どこの大学もE判定でした」と語るホリ・ホーリーさんは、予備校講師の吉野敬介さんに憧れていたこともあり、当初は吉野さんの出た國學院大學を目指していたそうです。

「現役のときのいちばん最後のほうは1日15時間ほど勉強をしていました。どうにかしなきゃとは思っていたのですが、やり方を間違えていたんです。英語が苦手で、単語も文法も何もわかっていないのに長文を読んだり、問題を解きっぱなしにしたりしていました。

効率の悪い勉強を何の疑いもなく続けていて……。勉強するふりをしていただけだったんです。結局、現役のときは、早稲田・立教・法政・中央・國學院の5大学5学部を受けて、全落ちでした」

「(偏差値的に)行けるか・行けないかにかかわらず、自分が行きたいと思った大学の文学部に絞って受験した」という挑戦は惨敗で終わります。

朝刊と夕刊を配りながら、予備校に通う

こうして彼は、「落ちて悔しかった」ために浪人を決めます。

ようやく家から離れて東京での生活を始め、新聞奨学生として代々木ゼミナールの代々木本校に通い始めたホリ・ホーリーさん。

「午前3時ごろに起床し、朝刊を配ってから6時ごろに帰宅し、それから代ゼミに行って午前中の授業を受けました。午後になると帰ってきて、夕刊を配ってからまた夕方に予備校に行ってましたね。朝の3時間と夕方以降の4時間で、1日7時間ほど勉強をしていました。いつも眠くて眠くてたまらないので、ずっといちばん前の席に座っていました」

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