高速の料金変動制「全国へ適用」ニュースの波紋 ロードプライシングを2025年度から拡大へ

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道路と鉄道は、あるときはライバルであるが、あるときは相互補完の役割を果たすが、整備も運賃・料金もバラバラに施策が進められていて、総合的な交通政策を行っているようには見えない。どちらも国土交通省という同じ省庁の管轄であるにもかかわらず、である。

その結果、地方では今も高速道路の建設が進む一方で、JRのローカル線の多くは経営が苦しく青息吐息となっており、都市間を結ぶ特急が削減されたり、路線そのものが廃止されたりしている区間が少なくない。

人口減と高齢化が進む中で骨太の議論を

2024年3月の北陸新幹線の全線開業で、名古屋方面から北陸、特に福井市、金沢市へ鉄道で向かう場合、原則として、米原と敦賀での乗り換えが必要になった。

利用者にとっては明らかに不便になったため、特に福井~名古屋間の移動は高速バスへのシフトが進んでいる一方、高速バス側は運転士不足で増発したくてもできない状態となっている。

高速バスは運転士不足などまた別の問題を抱える(筆者撮影)
高速バスは運転士不足などまた別の問題を抱える(筆者撮影)

また、南房総や銚子など千葉県の南部や東部へは、アクアラインも含む高速道路の整備により、JRの特急が次々と削減され、マイカーを除くと移動手段は高速バス一択になっており、移動におけるさまざまな課題が浮き彫りになっている。

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鉄道と高速道路や高速バスが連携して人々の移動を担うべきなのに、それぞれが連携なく動くことで、全国で不便が生じているように感じる。

今回の変動料金制は、2024年6月に策定される経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に考え方を盛り込む方向で調整しているとのことだが、「骨太」というのなら、人口減と高齢化が進む我が国の交通体系のあり方自体を「骨太」に議論してほしいと願わざるをえない。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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