これまで高速道路各社は、実にさまざまな渋滞対策を行ってきた。混雑区間の車線を増やしたり、注意喚起の標識や壁面の流れるライトで自然渋滞の発生源となるスピード低下を抑制したりと、多くの時間と経費をかけて解消に努めてきたものだ。
しかし、コロナ禍が明けても、人やクルマの流れは完全には回復していない一方で、東京都以外で人口が減り始めている中でも、首都圏や近畿圏などの大都市や周辺の渋滞が劇的に減った印象もない。
筆者がよく使うのは東名高速道路と東京湾アクアラインだが、以前よりも平日・朝夕の渋滞はひどくなっている印象がある。
大型連休の15km、20kmといった大規模な渋滞を取り上げたメディアも多いが、日頃から高速道路を利用する筆者には、「その程度の渋滞なら平日の混雑時と大差ない」と感じられる。
もちろん、細かい制度の設計はこれからであるため、利用者が感じるさまざまな懸念は払拭されていくかもしれないが、通行料に関しては総じて不満が大きく、また現在の政府が本当に利用者のことを考えて施策を行うかを考えると、不安な声が上がるのもよく理解できる。
「道路と鉄道」2大インフラの関係
高速道路の建設や維持に莫大な予算がかかるのは、山間部の多い地形の日本ではやむをえない面もある。また、高速道路のロードプライシングは外国にも例があるので、導入への抵抗は少ないかもしれない。
ただし、ロンドンやシンガポールなどのロードプライシングは、都市部へのクルマの流入をコントロールするために設けられた施策であり、日本で“全国的に”行うとしたらどの区間にどのような料金差をつけるのか、完全に模範となるモデルは海外には存在しないようにも思う。
また、こうした議論のたび、ずっと気になっていることがある。日本の陸上交通を支える有料道路と鉄道という2大インフラの関係だ。
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