イスラエルで「ネタニヤフ批判」が沸騰する真因 ガザ戦争、首相の無計画に怒るイスラエル軍

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(写真:Kobi Wolf/Bloomberg)

イスラエル軍がハマス掃討のためガザ地区北部に2度、3度と戻り、さらに南部のラファにも進軍しなければならなくなっていることから、イスラエル政府は重要な構成員からの不満に直面することとなった。その構成員とは、自国の軍幹部たちだ。

現職と元職の軍幹部たちは、以前よりも大っぴらに次のような主張を繰り広げるようになっている。政府がガザでの戦闘に続く計画を打ち出さないせいで、イスラエル軍は戦争開始から8カ月目にして、ハマス戦闘員が再び姿を現したガザ地区でまたしても戦闘を強いられている——。

「ビジョンなき」掃討作戦のエンドレス

職務に悪影響が出ることを避けるため匿名を条件に取材に応じたイスラエル政府関係者2人によると、一部の将官と戦時内閣メンバーは、首相ベンヤミン・ネタニヤフにとくに強い不満を抱いているという。ハマスに代わってガザを統治する組織の構築プロセスを示さないためだ。

これら2人の高官は、ガザ作戦の後半局面、つまり戦闘後について真剣に議論しようとしないネタニヤフは、ガザ北部のジャバリアのような場所でハマスが再起しやすくなる状況をつくり出していると語った。

イスラエルは昨年10月にジャバリアのハマス拠点に対する最初の攻撃を行ったが、5月中旬、またしても同地に戻って空爆と地上攻撃を行った。

この戦争に対するイスラエルへの世界的な批判の多くは、増え続ける民間人死者数に集中している。しかし、2006年から2015年までイスラエルの国家安全保障副顧問を務めたエラン・ラーマンは、国際的な批判は「戦闘終了後についての一貫したビジョンの欠如」にも起因していると述べた。

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