政令指定都市のスタートアップ支援金ランキング 2024年度の一般会計当初予算を独自に集計

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若者向けの起業家(アントレプレナー)教育は、短期的に効果が現れる施策ではないが、スタートアップ施策として重要な施策の1つである。政令市の中では、千葉市が「ちばアントレプレナー教育コンソーシアム」の運営を、浜松市も「Doer Tribe Hamamatsu」(ドゥア・トライブ・ハママツ)という浜松市内の学生向けコミュニティの運営を支援事業として取り組む。

また小中高生向けのアントレプレナー教育の取り組みも、仙台市、静岡市、名古屋市でプログラムが組まれている。小中高校にて学生に起業家精神を養う活動をおこなうことで「起業家の種」を育て、未来のスタートアップのプレイヤーを増やすことが狙いだ。東京都も同じく今年度の予算でアントレプレナーシップ育成プログラム推進事業に8000万円確保している。

政令指定都市と都道府県のスタートアップ支援施策が「重複している」という課題も

政令市は都道府県並みの権限と予算があるため、スタートアップの支援額も巨大なものになっており、1位の福岡市の支援額の合計は都道府県ランキングと比較しても五本の指に入る規模となっている。

ただ政令市のスタートアップ支援内容を見てみると、スタートアップ支援施設の運営、成長段階に応じた資金や助言などのサポート、地域の教育機関や地元中小企業との産学官連携、起業家教育の実施、地元企業の海外進出サポートなど多岐にわたるが、都道府県のスタートアップ支援施策と類似するものも多く、都道府県との役割分担が明確とはいえない。

例えば、名古屋市は、市内に「なごのキャンパス」(名駅)と「ナゴヤイノベーターズガレージ」(栄)の2拠点を中心に支援活動をしているが、同じく愛知県も「STATION Ai」という新しい支援施設の竣工を市内(鶴舞)で計画しており、市と県が各々スタートアップ支援拠点を設け、同じようにスタートアップ支援プログラムを並行して走らせて、中京エリアでのスタートアップエコシステムの組成および活性化を目指している状況である。

これは愛知だけに当てはまる話ではなく、静岡、大阪、広島などその他のエリアでも同様の傾向が見られる。

いわゆる「政令市と都道府県の二重行政の冗長性(非効率性)」がスタートアップ支援施策においても現れているということなのだが、例えば政令市と都道府県でスタートアップ支援での役割分担を明確に分ける、あるいは政令市と都道府県が連携し、共同でスタートアップ支援プログラムを実施するなどして、より効率的なスタートアップ支援施策スキームの改良(アップデート)が求められているのではないだろうか。

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