「株価暴落」引き起こしてしまう意外な"きっかけ" 金融危機のきっかけとなった市場急落のケース
<世界大恐慌>
1929年10月24日、ニューヨーク証券取引所で、株式市場は歴史的な暴落を記録する。1920年代は株価が10年で300%も上昇し、熱狂的な株式投資ブームが続いていた。そんなところに起きたのが、10月24日の「暗黒の木曜日」だ。その日は、当時としては破格の1290万株の売りが出され、投資家を慌てさせた。それでも、当時の主要銀行の頭取などが集まって、市場価格よりもかなり高い価格でUSスチールなど優良(ブルーチップ)銘柄に買い注文を出して乗り切ったとされる。
しかし、週明けの10月28日、10月29日には、それぞれダウ平均で12.82%、11.73%ずつ下落し、とりわけ10月29日の下げは壊滅的で、1600万株が売られている。約40年間、その記録は破られることがなかったとされる。29日は火曜日だったため「悲劇の火曜日」と呼ばれている。
ニューヨーク市場は1週間で300億ドルを失ったとされるが、その金額は当時の連邦政府の予算の10年分に相当し、第1次世界大戦でアメリカが失った金額よりもはるかに多い数字だったと言われている。この世界恐慌で下落した平均株価は、第2次世界大戦を終えるまで戻ることはなかった。原因は熱狂的な株式への投機であり、ファンダメンタルズを大きく乖離する割高感だったとされている。市場は、株価の崩壊を待っていたともいえる。
株価暴落、金融危機のメカニズムとは?
株式市場をはじめとして金融マーケットに暴落はつきものだが、何らかの原因と兆候があることがわかる。最近の決算発表後の株価の神経質な動きも、かつてこんなことがあったというデジャブを思わせ、現在の株価はバブルなのかもしれないという気になる。
実際に、ちょっと前までは新型コロナによるパンデミックで、世界経済は停滞し、世界中の政府や中央銀行は莫大な資金を市中に流出。過剰流動性を演出し、意図的にバブルを作ってきたことは明らかだ。
実際に、株価だけではなく、金などの貴金属や暗号通貨といった代替商品も急騰してきた。最近、株価暴落説や金融危機説を唱える専門家が多くなったのも、現在のこうした状況がバブルではないかと心配する人が増えているからだ。現在のアメリカ経済は、景気が悪化しつつあるのにインフレが進む「スタグフレーション」に陥っているのではないか、と心配する人も多い。にもかかわらず、株価は史上最高値圏に張り付いたままだ。
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