「株価暴落」引き起こしてしまう意外な"きっかけ" 金融危機のきっかけとなった市場急落のケース
<新型コロナショック>
2020年2月24日から約1カ月の間に、世界中の株式がずるずると約3割下落。原油価格は大きく6割下落、世界のリート(上場不動産投信)も4割を超えるマイナスとなった。中国武漢を震源地とするパンデミックが金融危機に直接結びついたわけだ。株価の暴落に拍車をかけたのは、3月9日の「OPECクラッシュ」だったと言われる。
OPECでの減産合意が不調に終わり、原油価格が一気に4割も下落したために、追随して株価や債券も急落。その3日後の12日には、アメリカが欧州からの入国拒否を発表している。株式だけではなく、他の市場価格が下落することで市場全体が暴落したケースと言っていい。
<フラッシュ・クラッシュ>
わずか数分で市場価格が大きく変動する現象。原因は、ヘッジファンドなど機関投資家のプログラム売買と言われているが、2010年5月に起きた株式市場でのフラッシュ・クラッシュも瞬間的なものだった。わずか数分でニューヨークダウ平均が1000ドルも下落。しかし、他の市場に波及することがなかったために、市場は急速に回復した。
同様に、2016年10月7日にはイギリスの為替市場で瞬間的にポンドドル相場が6%急落している。ポンド円相場でも、1ポンド=131円から124円に急落。為替介入のような人為的なものではなく、コンピューターのプログラムによるアルゴリズム取引や高頻度取引が原因と言われている。最近も、AIによる売買取引が普及する中でフラッシュ・クラッシュはしばしば起きており、新しい時代の金融危機と言っていい。
リーマンショックの最初の兆候
<リーマンショック>
2008年9月、アメリカで低所得者向けの住宅ローン「サブプライムローン」が破綻し、大手投資銀行の1つであった「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻した金融危機。グリーンスパン前FRB議長が「100年に1度の金融危機」と発言したことも大きなインパクトとなった。
世界中に大きな影響を与えたこの金融危機の最初の兆候は、サブプライム住宅ローン証券を大量に購入していたアメリカの大手金融「ベアー・スターンズ」傘下のヘッジファンド2本の破綻であったと言われている。これが2007年7月31日、きっかけをいち早く察知した投資家はその後大きな利益を上げたと言われている。
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