34年ぶり最高値「日経平均」が次に目指すところ 「思い出プット」を超えることこそ重要だ

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実質賃金は低下し、経済は冷え込んでいるというのに株価が上がるのはなぜなのか(写真:Ystudio/PIXTA)
日経平均株価が、史上最高値をついに超えた。しかし、これは、日本経済がマイナス成長に陥っていることと矛盾する。最高値再現は、「そこまでは安全」と人びとが信じたからだろう。われわれが本当に見るべきものは、経済の実態だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第115回。

経済はマイナス成長なのに、なぜ株価が上がる?

株価が高騰を続けている。2月22日に、1989年12月29日につけた史上最高値、3万8915円87銭を超えると、3営業日連続で最高値を更新した。

しかし一方で、経済はマイナス成長を続けている。そして、実質賃金は低下している。実体経済と株価の動きは、どう考えても矛盾している。

今年に入ってからの日本の株価の上昇率は、アメリカのそれより高い。日本がマイナス成長で、アメリカがプラスの成長を続けていることを考慮すれば、これは何とも説明がつかないことだ。

日本の株価が上がる理由として、いくつかの説明がなされる。まず、これまで中国に向かっていた投資が、中国経済の不調で日本に流れ込んでいると言われる。あるいは、いまは極端な円安なので、外国から日本に投資をする場合、将来円高になったときに、為替差益が得られる可能性が高い、とも言われる。しかし、いずれも説得的でない。

また、円安で企業の利益が好調だと言われるが、それは一部の大企業に限られた現象だ。大企業を見ても、過去に比べて飛躍的に利益が増加しているわけではない。

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