34年ぶり最高値「日経平均」が次に目指すところ 「思い出プット」を超えることこそ重要だ

✎ 1〜 ✎ 114 ✎ 115 ✎ 116 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

では、なぜ株価が上がるのか?

現在の株価高騰について、次のような説明はどうだろうか?

それは、「過去に経験したことがある株価水準は、いつかは再び実現できる」と、多くの投資家が信じているということだ。

これまでは、現実の株価との乖離があまりに大きすぎたから、最高値再現と言われても現実的なものとは考えられなかった。しかし、それに近づいてきたので、最高値再現が現実的なものと捉えられるようになってきたのではないだろうか?

もちろん、過去に実現したことがあるからと言って、必ずそれを再現できるわけではない。だから、これは根拠のない期待だ。しかし、株価の場合(あるいは、資産取引一般について)、多くの人々が信じれば、それは実現するのである。

ケインズの美人投票論と同じ

ケインズが言っているとおりだ。美人投票で、投票者は自分が美人だと思う人に投票するのではない。他の多くの人が美人だと思う人に投票するのである。

いまの場合、過去に実現した株価は、いつかは再現するのであれば、現実の株価がそれ以下である限り、いつかは、売却益を得て処分できる。だから、「いくら買っても安全」ということになる。

人々がこのことを信じれば、買いが増え、株価が上がる。つまり、根拠のない期待が現実のものとなる。要は、人々が信じるかどうかなのだ。

上で述べたことを、「いまの日本の株には、3万8915円87銭で売れるというプット・オプションが付いているようなものだ」と表現することができる。

経済実態との関連がないという意味で、「バブル・プット」と呼べる。あるいは、「過去にここまで行ったのだから、いつかは再びそうなるだろう」という意味で、「思い出プット」とも言える。

次ページ日本経済の実態は半殺し状態にあるといえる
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事