これまでの日本では、日銀によるETF(上場投資信託)の購入が株価のプットとして働いていた。日経平均が下がると、日銀がETFを購入して、株価を支えるということだ。これは、「日銀プット」と呼ばれていた。
日銀プットは、経済の実態に反して株価をここまで引き上げるのに、重要な役割を果たした。OECDの2019年4月の「対日経済審査報告書」は、これを「市場の規律を損ないつつある」と批判した。
しかし、日銀は、2023年には株式の売り手に転じたと見られる(2024年1月9日付日本経済新聞)。今後は、大規模緩和の修正に合わせてやめるのが自然、と内田副総裁が述べている(2月9日付日本経済新聞)。
「思い出プット」を超えるには
上で述べた「思い出プット」は、日経平均株価を、3万8915円87銭まで引き上げる効果を持つ。しかし、それ以上に引き上げる効果を持たない。
それ以上に引き上げるためには、経済の実態が伴わなければならない。そのためには、技術開発や新しいビジネスモデルの導入が必要だ。日本経済が本当に発展できるかどうかは、そのような展開ができるかどうかにかかっている。
結局のところ、日経平均株価が3万8915円87銭になったということは、ほとんど何の意味を持たないニュースであったということになる。われわれが見ていなければならないのは、日本経済の実態だ。
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