お金持ちとは本当に"うらやましい人生"なのか 「FIRE」の流行から数年たって改めて考える

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実現にはまず25年分の生活費を貯めるところから始まる。年間300万円かかるなら7500万円だ。それを年利4%で運用できれば元本を減らすことなく、生活費を賄い続けられるという理屈だった。一時はこの「FIRE」こそ、幸せへの扉と思われたものだ。

しかし、この考え方だと最初に決めた生活費以上に贅沢はできない。たとえ運用が順調でも、この先も4%で回していけるかはわからない。一見うらやましいFIRE生活を実現したとしても、使えるお金には縛られるし、つつましく節約生活をしていくことになる。

金持ちになればなるほど生活コストが増える

そう聞くと、それはイメージするお金持ちの生活ではない、高級ブランドショップや会員制レストランの常連となり、住まいはタワマン最上階で、休暇は当然海外、それも優雅にクルーズ旅行でないと――といった声が聞こえそうだ。

確かに、それが他人の財布から出たお金で実現するなら幸せだが、我が家のお金から出すとなると微妙な心境になる。

お金持ちになると、100円ショップ、業務用スーパーやドンキに行くことは減るだろう。食材を日常的に高級スーパーやデパ地下で買い、子ども服もブランドショップメインでそろえるかもしれない。それだけでも、生活コストがとてつもなく高い。

子どもの習い事も一流の先生を探し、学校だって学費のかかる有名私立を選ぶことも多くなるだろう。それも幼稚園や小学校から。そうなると、親同士のお付き合いも大変だ。お迎えの車はベンツ、ママ友とのお茶に1万円超えのアフタヌーンティー、着ていく服もコスメもバッグはおおむねハイブランド――などと、果てしなくお金がかかる。

しかし、いったんその階層に入ってしまうと、生活レベルを下げることができなくなったりもするだろう。お金持ち生活を持続するには、莫大なコストがかかるのだ。

なお、タワマン最上階と書いたが、超がつくようなお金持ちはまた別の場所に自宅があったりする。富裕層はざっくり2つに分かれており、先祖代々お金持ちで、その土地や財産を受け継ぐ「資産家」がひとつ。もうひとつが、自身の才覚や努力、あるいは投資で財を築いた「一代財産家」だ。

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