「あなたは私?」と虜にする文章を書く究極のコツ 全員に向けて浅く刺すなら「広いあるある」が有効
例えば、2023年のABCお笑いグランプリでも披露された漫才『back number』は、back numberの男らしくない歌詞をイジるネタなのですが、
「捕獲レベルいくつだ?」「なんでトリコの世界だと思ってんだよ」
「名前のない毒みたいな。アンナチュラルの1話」
といったように、「トリコ」「アンナチュラル」など流れと全く関係ない固有名詞が随所にちりばめられています。
「お前は俺か」と思わせて虜にする
これらのフレーズの意味を知らない人間にとっては笑えない部分でも、これが刺さる人間にとっては一発で令和ロマンの虜になるキラーワードになります。
人間には自分と近い嗜好(思考)を持つ人間に惹かれる「類似説(resemblance theory)」という習性があります。これは文章も同じ。「お前は俺か」と思ってしまう文章に魅力を感じるのです。
また、令和ロマンと同じように固有名詞を多用するコンビが真空ジェシカです。彼らは漫才の摑みでボケの川北茂澄がツッコミのガク(金髪でおかっぱ+眼鏡)の容姿にかけて「◯◯のやつです」と自己紹介し、ガクが「言うとしたら僕」とツッコミます。これも、固有名詞ボケの応用のひとつです。
「カウントダウンTVの眼鏡のやつです」
「平成教育委員会の眼鏡のやつです」
「『オトナ帝国の逆襲』の眼鏡のやつです」
ツッコミのガクが何に似ているかを観客が知っているかどうかでウケ量が大きく変わってくるのですが、菊池君(カウントダウンTVの眼鏡)、勉強小僧(平成教育委員会の眼鏡)、ケン(『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』の眼鏡)のように姿形は想像できても一般的に名前が知られていないものに関しては、固有名詞ではなく特徴を伝えることで、イメージさせやすくなります。
実際、相手の知識に委ねる「固有名詞」が受け入れられるかどうかは、ほぼ「パチンコ」です。10人いたら1人がわかってくれれば御の字。収支はプラスです。読者を信じてハンドルを回しましょう。
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