人気ゲーム『龍が如く』プログラムチームの挑戦 技術責任者が語る「触って楽しいものに」

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一番ぶつかったのは『龍が如く6』のときです。開発当初、バトルチームが『龍が如く0 誓いの場所』の開発で一時的に抜けていたのですが、戻ってみると、アクション性を大きく落とす方向性でバトルの研究が進められていました。

まるで映画が再現されているかのような映像中心のバトルシステムは、見ている分には楽しくても、触って楽しいものではありませんでした。これは『龍が如く』ではない、触って楽しいものにするべきだと、根気よくメンバーに意見を伝えて、バトルアクションをゼロから作り直しました。

職種の違うメンバーが同じ方向に進めるようになったのは、こうして何度も意見をぶつけているうちに「『龍が如く』とは何か」についての目線が合ってきたからだと思います。

まだまだできることがある

――シリーズ最高傑作とも言われている『龍が如く8』ですが、プログラムチームはなぜユーザーの期待を超え続けられるのでしょうか。

ユーザーが何を期待しているのかを考え、それを超えたものを出す、ということを心がけているからだと思います。

例えば以前『龍が如く OF THE END』というゾンビ物のタイトルを作ったときに、敵をたくさん出したいという相談を受けました。それまでのシリーズでは敵が多くても15人程度だったので、今回は100人出したいと。

でもそのとき私は「敵が100人出てくるゲームは他にもありそうだから、思い切って1000人出しませんか」と大風呂敷を広げました。結果的に、同時に1000人は出せなかったのですが、次から次へと湧いてくる仕組みにして、街の中には1000人のゾンビがいる、ということにさせてもらいましたが(笑)

伊東豊さん
(写真:エンジニアtype編集部)

――「1000人出しませんか」と言ったとき、本当に1000人出せると思っていたのでしょうか?

いいえ。でも言ってしまいました(笑)。いつもユーザーの期待を超えるということを意識しているので、目標は遠くに置くようにしています。だからいつも、作ったゲームは満足するものにはならないんですが。

ユーザーの期待が100%だとしたら、我々は500%を目指す。最終的に500%には届かなかったとしても、200%に届いたとすれば、ユーザーの期待を大きく超えるものは作れたわけです。じゃあ残りの300%の部分は、次のタイトルで挑戦しよう、と。その繰り返しですね。

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