共働き夫婦をトコトン悩ます「37.5℃の壁」 親にだけ子育てを押しつける社会は健全か
——訪問型病児保育はまさに、『37.5℃の壁』で困っている人を助けているわけですが、今後の新たな取り組みやビジョンは?
「妻に病児保育を任せるイケてない夫」は、早く絶滅させて、夫が育児に参加して当然という社会を作らなくてはいけない、と思っています。病児保育の大変さは夫婦で分かち合うものです。それには、育児に参加することが必要なので、厚生労働省と一緒に、育児に参加するお父さんを増やすべく、イクメンプロジェクトを立ち上げました。
“イクメン”という言葉は結構広がったので、次に変えるべきはボス(上司)だ、と考え、育児をする親を応援してくれる「イクボス」という概念を流行らせる取り組みをしています。ボスがイケてないと、その職場全体が育休を取れないとか、子育てしている人が追いやられる、という事態になるので、今後はそこを変えていきます。
母親は決して自分だけで背負い込むな
——それが、父親の立場から『37.5℃の壁』に向き合う、ということでもありますよね。では、母親の立場からはどのように、この壁に向き合えば?
外部を使い倒し、決して自分だけで背負いこまないこと、です。夫も子育てに参加してもらい、近所のママ友にも応援してもらう。また、行政や外部の市場サービスも利用する。特に子供が熱を出した時は外部の力を頼りまくってください。
お金がかかることに対しては、自分のキャリアを続け、子育てや家族生活を営む上での投資と考えてください。
例えば、仕事を辞めて正社員からパートになると、生涯年収に1.5億円以上の差が出ます。それを考えると、今、お金を使って乗り切ったほうが良いのです。病児保育を最も必要とする期間と言うのは1〜3歳くらいまでの2〜3年だけ。今を乗り切るため使うお金は消費ではなく投資です。
——今回、病児保育がテレビドラマ化されます。
実際、僕が病児保育の大切さについて語っても、難しい話、という印象でなかなか大衆化はしないのですが、漫画やドラマになることでわかりやすく伝わります。すると、多くの人が気づくのです。「あぁ、37.5℃って働く親にとって壁なんだ」と。困っている時にはみんなが手伝ってあげればいい、という意識や認識が広がる。これが大事だと思います。
後は、保育士の人たちが、病児保育も自分たちの仕事であると気づいて欲しいし、病児保育士になりたい、という若者が増えることによって、病児保育のインフラが増え、困っている人が減るという循環が生まれると思います。
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