仕事できない「勉強熱心な人」が驚くほど多い理由 「丸暗記」ばかりの"フレームワーク信者"は不要

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たとえばあなたの職場に、誰もが思いつくような当たり前の提案をする人物がいたとします。あなたはその人物を「つまらない」と思うのではないでしょうか。

ビジネスではお行儀のよい答えよりも、斬新な発想や答えが求められる場面が多々あります。そしてそんなスキルを持っている人物のほうが重宝されるもの。AI時代において、模範解答やみんなと同じ答えしか出せない人はもう要らないのです。

フレームワークではなく「動作」を覚える

ではどうすればいいのか。私の答えは、動作を身体が覚えることです。

ロジックツリーやSWOT分析といった名称は知らなくて結構です。ただ、結果的にそれらと似たようなものが描けるような動作は必要です。完成された数学の公式を欲するのではなく、自ら公式を創作したり、独創的な答えを作るための身体の動かし方です。具体的なものをいくつかご紹介します。

「わける」

「つなぐ」

「くっつける」

「逆にする」

「ずらす」

これらはすべて人間の動作を表現しています。たとえばロジックツリーは「わける」と「つなぐ」を組み合わせるだけで描けるものです。SWOT分析も2つの軸においてそれぞれ2つに分解し、4(2×2)枠のマトリクスを描いたものですが、実際にしたことは「わける」だけです。

「くっつける」「逆にする」「ずらす」は何か斬新なアイデアを出したいときにする動作です。コラボ商品は「くっつける」であり、いわゆる目から鱗と呼ばれるものはたいてい「逆にする」であり、いわゆる盲点と呼ばれるものは物事をちょっとだけ「ずらす」ことで誕生するものです。

私は企業研修などで思考や問題解決系のトレーニングをする際、フレームワークの名称はほぼ紹介しません。どんな場面でもそれに似たものが、その場面にもっともフィットした形で描けるよう、必要な動作を身体に覚えてもらうようにしています

そういう意味で、理想のビジネスパーソンとは、記事冒頭の2つの問いの両方に答えられないながら、不思議と成果を出すことができている人物だと思います。この記事をお読みのみなさまはどうか「フレームワーク信者」にならず、正しい努力と訓練をしてスキルアップをしていただきたいと願っています。

余談ですが、数学とは先ほどご紹介した5つの動作をすることで誰も発見していない事実を探り当てたり、新しいモデルを構築して示す営みです。「わける」は分解であり、「つなぐ」は論理です。問題を解く際のアイデアには「くっつける」「逆にする」「ずらす」がさまざまな場面で使われています。私の提唱する「数学的な仕事術」とはどういうものか、少しだけでもあなたに伝われば幸いです。

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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