仕事できない「勉強熱心な人」が驚くほど多い理由 「丸暗記」ばかりの"フレームワーク信者"は不要
それにもかかわらず、ビジネスパーソンのみなさまは、さらに完成されたフレームワークの「知識」を欲しがります。みな勉強熱心で、ノウハウはたくさん知っているはずなのです。
でも、実際には行動に反映できていない。ここから、次の結論が導き出されます。
フレームワークの名称を頭で覚えただけで、それをする際の動作を身体が覚えていない。
私が指導現場で大事にしていることは、「知っている」と「できる」の橋渡しをすることです。そのためには名称を覚えさせるような指導ではなく、動作を身体が覚えるような指導をすることが極めて重要になります。
なぜそのようなスタイルにたどり着いたのか、事例を用いて説明します。
フレームワークは「あてはめるもの」ではない
かつて、問題解決をテーマに、ロジックツリーやSWOT分析といった思考のフレームワークを解説したことがありました。
ロジックツリーとは、さまざまな問題を分解の木として原因や解決法を発見する際に活用できるひとつの課題解決フレームワークです。SWOT分析とはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)、という4つのカテゴリーを視点にして、経営戦略や事業計画の現状分析を行うためのフレームワークです。この2つは非常に有名なフレームワークのため、ご存じの方も多いでしょう。
研修後、ある2名の受講者が私に次のような質問を投げかけました。
「深沢さん、ロジックツリーが使えないときは、何ツリーを使えばいいのでしょうか?」
「深沢先生、SWOT分析はマーケティング部門の人しか使えないものですよね? ワタシは経理部なんですけど、経理部では何分析をすればいいのでしょうか? SWOT分析の経理版を教えてください」
私はドキッとしました。率直に申し上げれば、これはマズイと思ったのです。明らかに彼らはフレームワークを「あてはめるだけのもの」と捉えています。数学のテスト直前に教科書に書かれた公式を必死に暗記しようとする学生と本質的には同じです。
たしかに、ビジネスで使うフレームワークは、まるで数学の公式のように枠組みにあてはめさえすれば、とりあえず正解(らしきもの)を導出してくれます。
では、ビジネスパーソンのみなさまもそのような態度でいいのでしょうか?
答えはもちろん、「NO」です。
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