日本人が子どもに「翔」の名をつけたがる理由

社長に「誠」が多いのは偶然ではなかった!

まずは昭和51年の大ベストセラー、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』。実は「翔ぶ」という書き方は、この頃あまり一般的ではなく、「とぶ」は「飛ぶ」または「跳ぶ」としか書かなかった。しかし『翔ぶが如く』のヒットを受け、その翌年(昭和52)には、開放的な女性のことを称した「翔んでる女」が流行語になる。さらにその翌年(昭和53年)には、渡辺真知子が歌う『かもめが翔んだ日』や漫画『翔んだカップル』が大流行。「翔ぶ」という書き方が、完全に世の中に浸透した。

少女漫画も「翔」の人気を後押し

そしてメディアに登場した「翔」がもうひとつ。それは昭和52年に連載をスタートした少女漫画「ハイティーン・ブギ」の主人公の名前「藤丸翔」。この漫画は、映画化もされ当時人気絶頂の近藤真彦が「翔」役を演じ主題歌も大ヒット。昭和55年に社会現象になった横浜銀蝿のメインボーカル「翔」の名も「ハイティーン・ブギ」からもらった名前だった。

こうしてわずか数年の間に、メディアに「翔」の字が大量にあふれ、「翔」という漢字の認知度が一気に高まったことで、日本中で子どもの名に翔の字を使いたいという親が急増した。

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しかしこの時、そんな親たちに大きな壁が立ち塞がる。実はこの「翔」という漢字、人名用漢字に含まれておらず、「翔」と記した出生届は、役所で受理されなかった。

ところが「翔の字を名前に使いたい」という世間の要望が高まるとともに、人名に使える漢字が厳しく制限されていることが社会問題になると、昭和56年10月、「翔」の字が、人名用漢字に追加されることになった。

ちなみに、この時追加された漢字は54文字。石川遼の「遼」やAKB48指原莉乃の「莉」なども含まれていたが、翔の字が圧倒的いちばん人気。

翌昭和57年、翔の字は見事ベスト10入りを果たした。

しかも、司馬遼太郎が「とぶ」を「翔ぶ」と書いたのをきっかけに、名前の世界で「翔」を「と」と読ませることも定着。「大翔(ひろと)」は、最近10年で6回も1位を獲得した人気の名前になっている。

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