家づくりの基本は間取りではなく場取り--『「おひとりさま」の家づくり』を書いた天野 彰氏(建築家)に聞く


──この本には、夫婦もおひとりさまの集合で考えよ、とあります。

家づくりで、夫婦それぞれの本音を盛り込むにはたいへんな労力がいる。大家族主義が薄れ、結局、おひとりさまに戻っていく。

その覚悟があれば、おひとりさま向きの家を初めから造っていけばいい。将来を考えての「子育ての巣」ではなく。

おひとりさまになることを考えて家を造り、人生の覚悟を決めてきた人は、実際におひとりさまになったときに、ちっとも寂しくない。そのときにぴったり合った家になっているからだ。これはいくつも体験している。たとえば、そこに趣味の稽古場ができたり、人に貸して生活の糧にしたり。そういう家づくりをしておくと、将来も明るい。

おひとりさまとは、一人で何とか生きていくのではなく、自分らしい人生を確立すること。それを夫婦の時代から見いだしてもらう。その手助けができるのは設計士冥利だと思っている。

あまの・あきら
一級建築士事務所アトリエ4A代表。1943年愛知県岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒業。建築家集団「日本住改善委員会」を組織し、「住まいと建築の健康と安全を考える」を基本に、生活に密着した住まいを手掛ける。設計実績は3000軒近い。住宅兼用医院や高齢者施設、さらに寺社と幅広く活躍。


(聞き手・本誌:塚田紀史 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年8月6日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

『「おひとりさま」の家づくり』 新潮新書 714円 189ページ

  

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