大谷の"番記者"が語る「ドジャース移籍」の狂騒 「予期しない道を選ぶ」大谷ゆえの混乱と納得

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 大谷選手のドジャース入団会見
2023 MLB 大谷翔平 ドジャース 入団会見(写真:AP/アフロ)
アメリカ在住のジャーナリスト・志村朋哉さんは、大谷翔平選手をエンゼルス移籍当時から取材し続けてきました。その志村さんが、同じく大谷選手の"番記者"として、その動向を見守ってきたアメリカ人記者2人と鼎談。本記事では彼らが大谷選手のロサンゼルス・ドジャース移籍をどのように見たかについて、『米番記者が見た大谷翔平 メジャー史上最高選手の実像』から一部を抜粋、再編集してご紹介します。

移籍発表の日

志村朋哉(以下、トモヤ) 大谷の去就は、23年の最大の話題だった。現役最高と称される選手がどこのチームに行くのかは、メジャーの勢力図を動かす可能性もあったから、野球ファンの誰もが興味津々だった。

僕もスポーツ好きに会うたびに、「何か内部情報はないの?」って聞かれてちょっとうんざりしていたくらい。でも、僕が知る限り、誰もそんな情報は持っていなかった。オフシーズンになっても、大谷サイドや球団側からは、ほとんど情報が漏れてこなかった。

最終的には、本人がインスタグラムでドジャース移籍を発表したんだけど、その前日には、トロント・ブルージェイズを選んだっていう情報がネットで広まって、野球ファンや記者たちが翻弄された。

アナハイムからトロントに向かうプライベートジェットの飛行経路をファンが追ったり、菊池雄星がトロントの高級寿司店を貸し切ったなんていう噂がソーシャルメディアに出回ったりして、まさに狂騒劇だった。

僕は信頼できる人から、「大谷はまだ決断していない」って聞いていたけど、万が一に備えてパソコンの前に張り付く羽目になったよ。

2人は、大谷のドジャース移籍を知った時、何をしていたか覚えている?

ディラン・ヘルナンデス(以下、ディラン) 正直言って、何をしていたかは覚えていないんだ。でも、発表がいつあってもすぐに配信できるよう、事前に3パターンのコラムを書き上げていた。

1つはドジャースに決まった場合、2つ目がエンゼルスに残留した場合、そして3つ目がそれ以外の球団だった場合。

個人的には、3つ目がお気に入りだった。明らかに本命と言われていたのに獲得できなかったドジャースをけちょんけちょんにするつもりだった。

ドジャースの関係者が日本に行った時に、向こうの球団関係者を怒らせたり、日本人選手との交渉で高慢な態度をとったりしたなんていう話を聞く。

だから、スタン・カステン(球団社長)が大谷との交渉の場で興奮して話しすぎて、自分がいかに嫌な人間かを露呈して契約がオジャンになるケースも考えられた。

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