一生を宇宙船で過ごす人々が直面する問題とは? 何世代も続く「遠い恒星への旅」の倫理と哲学

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この件に関して、海軍を参考にしようとする人が多い。海軍では、NASAのミッションよりもはるかに大勢の人員が、ほぼ自律的に活動する船のなかの密な居住空間に置かれて、連続で何カ月も、ほかの人間から隔離されて過ごす。乗員が6000人を超えるアメリカ海軍空母なら、乗員が1万人を超えるはずのワールドシップに最も近いと言えるだろう。

ワールドシップは海を行くのではないし、隔離は残りの生涯続くが、海軍の多くの若者たちにとっては、連続1年以上世間から離れて海上生活するのは、まるで一生そうしているかのように感じられるかもしれない。

このテーマに関する文献が宇宙旅行とは無関係なさまざまな専門誌に掲載されているが、ワールドシップの設計者が設計の過程でそれらのものをよく調べなければならないのは間違いない。

生涯を船上で暮らす人々の文化

海軍に倣えと言うけれど、船上で暮らす人々の文化とはどのようなものだろう?

ワールドシップが軍が主導する軍隊式規則の下で旅に出るというのは考えづらい。この旅に参加する選び抜かれた人々は、地球の人間の多様性をほぼそのまま反映したさまざまな人々で、全員がその後生涯にわたって厳格な軍紀に苦痛も感じずにしたがうような性格ではあるまい。

仮に当初の乗組員がそういう人々だったとしても、その子どもたちは? 船長の娘が次期船長になるように訓練されるのだろうか? 料理長の息子は、成人したらずっと乗組員の食事を準備する運命にあるのだろうか?

おそらく、移住者たちが採用する何らかの教育システムを修了した子ども世代の若者たちがこれらのポストを巡って競争し、その結果適任者が選ばれるのだろう。何らかの階層構造が必要になるのだろうが、どのようなものにすべきだろう?

それがどんな形のものになるとしても、安全を優先したものでなければならない。好むと好まざるとにかかわらず、人間というものは予測がつかないし、乗組員たちが経験するはずの心理的ストレスは相当なものだろうから、一部の人は堪忍袋の緒が切れてしまうだろう。

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