起業家育成・学費実質無料の「高専」2年目の今 神山まるごと高専 東京の進学校辞退の入学者も
現在日本にある高専は58校。そのうち国公立が54校で、神山まるごと高専を含む私立は4校。
高専生が対象の「ロボットコンテスト(通称ロボコン)」などを目にしたことがある方も多いだろう。卒業生の就職率は高く、その人材は産業界から一定の評価を受けているとも言われる。
とはいえ昨今の少子化や理数離れ、四年制大学への進学者の増加により、創設期の勢いに比べ、高専を取り巻く環境は変化してきている。
そんななか誕生した神山まるごと高専の1期生の入試は、国内外から出願があり、約9倍という高倍率となった。
その狭き門をくぐり入学したのは44人。彼らは今、寮で共同生活を送りながら、時に壁にぶつかり、学業と神山町での暮らしを謳歌している。
思い描く卒業生の進路「起業4割」
「これからの時代、自分でデータをつくり、自分でプロトタイプをつくり、そして提案するような、技術を持った起業家が求められています。それができないと社会のスピード感についていけないと思います。
つまり『モノをつくる力で、コトを起こす人』です」と語るのは常務理事・事務局長を務める松坂孝紀さん。同校が描く卒業後の進路の比率は、就職30%、大学などへの編入30%、そして起業40%だ。
それを実現するべく、神山まるごと高専では「テクノロジー×デザイン×起業家精神」の3つの領域を、1学科で複合的に学ぶ。
"テクノロジー"では、ネット社会の未来に対応した情報工学から電子工学で、モノをつくる力の基礎を養う。
また"デザイン"は、つくりたいものを絵や言語などに具現化するため、デザインや映像、建築、ゲームづくりなどの技術を身につける。
そして"起業家精神"では、ビジネスの基本や起業の方法、他人を巻き込むコミュニケーション力などを学ぶ。