漫画村に「17億円賠償命令」でも変わらぬ深刻実態 海外サイト、SNSで増殖し続ける「タダ読み」

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さらに、外国語に翻訳された海賊版の増加により、被害は世界に広がっている。2024年2月時点でABJが把握している出版物の海賊版サイト1207サイトのうち、約75%が日本語以外のサイトだった。

4月18日の判決を受けて会見を開いた原告側の社員、弁護士ら
4月18日の判決を受けて会見を開いた原告側の社員、弁護士ら(記者撮影)

大手出版社や関連団体などは、サイトの削除要請を行うだけでなく、海賊版サイトのリストをセキュリティソフト会社や通信事業者などに提供し、アクセス警告を表示する、青少年フィルタリングを導入している場合にはアクセスできないようにするなどの対策を強化している。

それでも海賊版サイト側は、次々と巧妙な手口を繰り出し対抗する。短期間にドメイン変更を繰り返す、同じサイト構成でドメインの異なるトップページを大量に作成する、といった具合だ。

海賊版サイトの収益を支える広告は現在、詐欺やカジノ、アダルト系など海外から出稿されている確信犯的なものがほとんどで、こうした悪質な広告主に掲載取りやめを求めることも難しい。

著作権に詳しい中島博之弁護士は、「体力のある大手出版社が負担して、民間で取り締まりを行っている状況だ。民間で開示した情報を外国の当局に渡して摘発につなげるためには、日本政府による働きかけも不可欠だ」と指摘する。

SNSで大量投稿されるタダ読み動画

増殖する海外サイトに加えて、出版社を悩ませているのが、ユーチューブなどのSNSでの被害だ。

ユーチューブやTikTokで人気漫画のタイトルを検索すると、パラパラ漫画のように自動で画像がスライドされる動画が大量に見つかる。

SNS上では、著作権侵害に対するユーザー側の意識の低さも目立つ。とくにこの1~2年で被害が深刻化しているTikTokでは、プロフィールに「シャドバン(編集注・利用規約に違反した場合などに行われる利用制限を指す)中なので投稿控えます」「運営に消されました」などと記載したアカウントに対し、「シャドバン直ったら投稿お願いします」「頑張ってください」と、まったく悪びれないコメントが付いていた。

出版社側が悪質な投稿に片っ端から削除要請をしたところで、すぐに別の違法動画が投稿され、アカウントが凍結されても虚偽の名前や住所でまた別のアカウントが作成されるなど、SNSでの取り締まりはまさに“いたちごっこ”だ。

再生回数が増えればレコメンドに表示されるケースもあり、業界関係者からは「(SNSを運営するプラットフォーマー側と)協力して対策したいが、動きが鈍い」と憤りの声が上がる。

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