エンジンは、ガソリンモデルが搭載する直列4気筒1.6リッターMIVEC(4A91型)をベースに新設計した、HEV専用の4A92型(最高出力70kW/最大トルク134Nm)。
ここに先代(タイでは現行車)「アウトランダーPHEV」用フロントモーター(85kW/255Nm)、インバーター、ジェネレーターを流用したハイブリッドシステムを搭載する。駆動用バッテリーはHEV専用のリチウムイオン電池で、電気容量は1.1kWhだ。
このハイブリッドシステムの最大の特徴は、「7つのドライブモード」があること。トライトンのようにトランスファーを持つ4輪駆動ではない前輪駆動車なのだが、トライトンと同様に、「パジェロ」や「ランサーエボリューション」で培った走行制御技術を応用するシステムを搭載している。
基本の2モードは、EV走行となる「EVプライオリティ」モードと、強制的にエンジンを動かし、ジェネレーターで発電した電力をバッテリーへ充電する「チャージ(回生)」モードだ。
注目は走行特性を変化させる5つのテレインモードで、「ノーマル」「ターマック」「ウェット」「マッド」「グラベル」がある。
こうした本格的なオフロード車向けのようなモード名を見ると、エクスパンダーHEVが4輪駆動車だと勘違いしてしまう人がいるかもしれない。
これら5つのモードでは、前輪のスリップを検知すると駆動力を制御する「トラクションコントロール」、前輪左右の駆動力と制動力を制御する「アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)」、加速時のモーターやエンジンの出力を調整する「アクセルレスポンス」、速度域や路面状況に応じてステアリングの手応えを調整するステアリング制御、そしてシフトポジションを統合制御する。
4輪駆動と見紛う走り
まずはクルマの基本特性を知るため、時速60kmのスラローム走行でHEVのノーマルモードとガソリン車を比べた。
HEVは重量が少し重いが、グイグイっと曲がり踏ん張りが良く、実に扱いやすい。これはバッテリーパックを前席下に置き、最低地上高を205mmとガソリン車と同じにしながら、重心の高さを10mm下げたことや、車体床部にサイドメンバーとクロスメンバーを追加したことで車体剛性が上がった効果だ。
ターマックモードでスラローム走行をすると、ステアリングのガッシリ感としっかり感が増し、さらにAYCの作動によりMPVとは思えないスポーティな動きをする。
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