最後にもう1つ、資本主義が離婚率を高めた理由を挙げておこう。
なぜ資本主義は離婚率を高めたのか
資本主義とは、流動化である。そして、流動化されたものの変化である。新しいもの、変化すること、それ自体に価値があるようになった社会である。
それにより差別化し、別のぜいたく品(前述のエンタメ品でも)から消費者を奪ってくるのである。スピード勝負。こうなると、すべてのプレーヤーが動こうとする。変化しようとする。前と違うものを生み出し、違うことをしようとする。
そうなると、必然的に将来は予測不可能になる。毎日の日常、繰り返しの安定した生活なら、明日に何が起こるかわかる。社会全体でもわかる。しかし、流動化し、変化を追い求める社会では、明日の予測が立つわけがない。だから、資本主義が加速すればするほど、将来はわからなくなる。
現在、もはや将来予測はできない。その理由は、前述の流動化・変化が20世紀初頭までは生産者側の競争によるものだったのが、それ以後、消費者側の変化、消費者の気まぐれにより経済社会が変化するようになったからである。
生産者が消費者の暇つぶしのエンタメ品需要の獲得競争をしているから、技術的な変化ではなく、消費者の嗜好の変化に対応して企業は予測し、行動しなければいけないが、これは非常に難しいのである。
消費者は気まぐれだし、エンタメ品を消費しすぎて、飽きるのが早くなってくる。だから、21世紀、さらに企業は変化の加速を求められている。となると、設備投資は難しくなる。技術的・品質的には世界最高のもので、この先10年は抜かれないと思っても、つまり、技術的な賞味期限が10年あっても、消費者は1年で飽きるかもしれない。
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