NYT記者が分析する、AIが抱える最大のリスク 「まだ暴走列車ではない」AIの現在地と課題
生成AIが質的に違うのかどうか。OpenAIのサム・アルトマンCEOやテスラのイーロン・マスクCEOは、「本当に恐ろしい」と言っています。「人類存続の危機になり得る」と。いささか大げさですよね。
ただ一つ言えるのは、人々の政府に対する関心を高めたということです。何もせず放置するのは危険です。そのリスクへの対処方法を政府が示せるのかどうかに関心が向かっています。
この先どうなってゆくのかわかりません。それでも、インターネットを見れば、少し想像がつきます。良いこともたくさんありましたし、革新的なこともありました。その一方で、悪いこともたくさんありましたよね。偽情報やいじめ、民主主義を脅かすことなど。
つまり、良いことも悪いこともたくさんあります。だから、いずれ何かしらの規制がかかるかもしれません。
現時点では、生成AIの波に乗っている人々がやろうとしているのは、「他の人より少し先を行くこと」でしかありません。つまり、まだ私たちは、暴走列車に乗っているというわけではないのです。
進化し続ける技術に「規制」をかけることはできるか?
――アメリカ政府や議会のこれまでを見ていると、「ハイテク産業に新たな規制をかける」という点で、良い実績をあげられていません。一方で、米中間の情勢を見る限り、アメリカは中国と競争をしなければなりません。まさに「ハイテク覇権競争」です。こうした情勢の中で、アクセルとブレーキを同時に踏むようなハイテク規制はうまくいくのでしょうか。
まさにあなたがおっしゃる通りです。たしかに、アメリカ国内でも意見が分かれています。「規制をかけて進歩のスピードを遅らせるべきかどうか」。そして「中国との競争を続けるべきかどうか」「競争はどうやって続ければよいのか」と。
政府も社会も「利害のバランス」を取ろうとします。ただし、立法的なアプローチはとても難しいです。
もしかすると、国内の半導体産業を支援するCHIPS法のような方法であれば、可能性はあるかもしれません。議会は完全に行き詰まり、何をやってもダメな状況ですが、CHIPS法は超党派で合意して成立しました。
その背景に中国の脅威があったことは確かです。しかし、われわれは中国のようにはやらないでしょう。なぜなら、監視国家などは望んでいないからです。民間企業は、政府による監視など望んでいないのです。しかしその一方で、「競争」は望んでいます。
「ガードレールつきのイノベーション」が望ましいですが、どうなるかはまだこれからです。
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