「5浪京大」彼女の合格導いた"80歳恩師"との別れ 予備校を転々としていた彼女、恩師の教えとは

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「京大数学に対応できる考え方を教えてくださる80歳の先生に巡り合ったんです。先生がテキストを作ってきて、その問題を先生の前で1から解き、解いている状態を先生が見るという形式の授業でした。

私は要領が悪いアプローチや、計算の仕方をしていたみたいで、『この計算の仕方のほうがいいよ』と教えていただけました。

また、私は公式を丸暗記するのが苦手なのですが、その公式を証明したうえで、その考え方がどこからきているのか、本質を教えてもらえたのです。『もし公式を忘れても、忘れたときは1から自分で証明して導いたらいい』と言ってもらえて、こんな考え方ができる先生がいるんだとびっくりしました」

濱井正吾 浪人 京大
80歳の先生とのノート(写真:にこにこさん提供)

80歳の先生との出会いのおかげで、数学の偏差値が大きく上がり、偏差値70くらいになってきたにこにこさんは、ついに初めて京大オープン模試でA判定を獲得します。

センター試験でも86%を獲得し、「この年こそいけるかもしれない」と思った彼女。しかし、残酷にも合格最低点から30点足りずに、5度目の不合格を突きつけられてしまいました。

悲しい報せが届く

この年は「さすがに落胆した」と語るにこにこさん。一方で、あと1年やれば受かるという希望も持てたようで、受験終了後に80歳の先生と食事に行き、「来年も頑張ろうね、春になったら連絡ちょうだい」という話をします。

しかし、これが彼女と先生との最後の会話になりました。

「春になって、また先生のもとでお世話になろうと思って連絡したところ繋がらず、予備校に問い合わせたら、先生がお亡くなりになったと言われました」

あまりにも突然の報せに驚いた彼女でしたが、それまでに先生から学んだことを生かして、キープとブラッシュアップをすることで、この年こそ必ず合格しようと誓います。

「今まで私が落ち続けたのは、計画性がなく要領が悪いこと、時間があるせいで余計なことを考えてしまうことなどに大きな原因があると思いました。

漫然と塾に通っているだけで安心していて、なぜ点数が伸びないのか、数学ができないのかを突き詰めて考えられていなかったなと思います。

だから5浪目は、9時〜10時 数学の自習、10時〜10時半 塾への移動、10時半〜12時半 個別指導……というふうに10分きざみのスケジュールを作って、忙しい生活を送るようにしました。そうすると、マイナス思考に陥る時間が減って、前向きになれました」

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