「大学無償化」への批判が的を射ていない真実 お金だけでは得られない豊かさに目を向ける

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みなさん、そろそろ本気で発想を変えませんか?

ずっと昔、日本人のことをあざけり、エコノミックアニマルと呼んだ人たちがいました。

こういう品性に欠ける言いかたは論外ですが、ただ、私たちほど経済に縛られて生きている社会はない、という指摘は一片の真理をふくんでいます。

「経済に依存した社会」から抜けだそう

「国際社会調査プログラム」のなかに、「医療制度・教育・治安・環境・移民問題・経済・テロ対策・貧困」について「今の日本で最も重要な問題は何だと思いますか」という質問があります。

日本では58.1%、全体のほぼ6割が「経済」と答えています。調査した34の国・地域のなかでダントツの1位です。

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確かにお金があれば生きる・暮らすために必要なサービスを市場から買うことができるようになります。ですが、経済はすっかり弱ってしまい、生きること、暮らすことの不安は以前と比較にならないほど強まってしまいました。

もう、いい加減に、《経済に依存した社会》から抜けだすべきなのです。

ではそのときの対抗軸はなんでしょう。それは《共にある》という視点です。

共にある、と言われると、なんとなく人間を縛りつけるような、自分らしさを押し殺して、まわりにあわせなければいけないような印象を受けるかもしれません。

でも、そうではありません。むしろ人間の「自由の条件」を整えたいからこそ、この共にあるという言葉の意味について私たちは考えなければならないと思うのです。

井手 英策 慶應義塾大学経済学部教授

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いで えいさく / Eisaku Ide

1972年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本銀行金融研究所、東北学院大学、横浜国立大学を経て、現在、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政社会学。総務省、全国知事会、全国市長会、日本医師会、連合総研等の各種委員のほか、小田原市生活保護行政のあり方検討会座長、朝日新聞論壇委員、毎日新聞時論フォーラム委員なども歴任。著書に『幸福の増税論 財政はだれのために』(岩波新書)、『いまこそ税と社会保障の話をしよう!』『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)ほか多数。2015年大佛次郎論壇賞、2016年慶應義塾賞を受賞。

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