あの「赤ちゃんタレント」が持つ天賦の才能 「かわいい」だけでは務まらない
さっそく独身の男性スタッフが慣れない手つきで一和くんを抱き上げてみると、確かに泣かない。泣かないどころか、初めて見る大人に興味があるのか、ひげのあたりを触ってみたりメガネを取ろうとしてみたり、動揺するスタッフをもてあそんでいるかのようにも見える。最後には笑顔も飛び出した。その後、同行したさまざまなスタッフに抱き上げられても一度も泣いたりぐずったりすることはなかったのだ。
森崎マネジャーによると、たいがいのドラマや映画の撮影現場には候補の赤ちゃんが泣いてどうしようもなくなったときに備えて、本命赤ちゃんのほかに数名の「スタンバイ要員」の赤ちゃんに来てもらうのだが、佐藤一和くんの場合、その必要がまったくないので「スタンバイいらずの一和くん」という異名が付いているという。
思い出づくりでは済まない
ちなみに、タレント事務所に子どもを所属させている親の多くは「思い出づくり」の一環と考えているようだが、実際わが子がタレントになるには、どんな手順を踏めばいいのだろうか。森崎マネジャーに聞いた。
テアトルアカデミーの場合、携帯やパソコンで応募をすると、自動的に1次審査があり、選考に残ればオーディション参加のお知らせが届く。そこで合格し、なおかつ親御さんの意思が固まれば、めでたく事務所所属の赤ちゃんタレントとなる。
その後は、3カ月に2回程度のペースでレッスンを受けたり(希望者は1週間に1回のプログラムも用意)、プロフィール撮影のための写真撮影をしたりと、さまざまな準備を進めていくという。
気になるレッスンの内容は、お母さんと一緒に遊びながら社交性を養うといった幼児教室のようなもので、もちろん、これにはピアノやダンスなどの普通のお稽古と同様に、それなりの月謝が必要になる。
こうして、事務所側は、登録完了したすべての赤ちゃん、幼児・児童のプロフィールを分厚い1冊の本にまとめ、最新版を1年に1回の更新をしながら、テレビ局や制作会社など、さまざまな業界関係者の手元に届ける。気になるギャランティ(報酬)については、仕事の内容によってバラつきがあるため一概には言えないようだ。要は秘密、ということである。
いったいどれぐらいの人数の赤ちゃんが登録され、そのうちどれぐらいの人数の赤ちゃんに仕事が舞い込んでくるのかは定かではないが、レッスン風景を見るかぎり、所属する親子は皆、楽しそうである。読者のお子さんが、もし誰に抱かれても泣かない子なら、挑戦してみる手はありそうだ。
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