「キーが打てない」30代男性を襲った"まさかの病" 体験者「安易な自己診断と思い込みには注意を」

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「『胸の前や横』『背中(肋骨に沿って出る)』『顔の三叉(さんさ)神経の第1枝(おでこから目までの部位)』ができやすい部位です。ただし、神経の通っている部分であれば、どこに出てもおかしくない」(菊池医師)

また、通常は体の片側に出るが、まれに両側に出ることも。離れた2カ所に出るケースもある。顔にできると失明や難聴、顔面神経マヒの合併症が起こることがあるため、入院治療が必要になることも多い。

重症化予防のためには早期発見、早期治療が重要。とはいえ、早すぎると、杉山さんのように的確な診断がつけてもらえないこともある。

症状の出方や感じ方は個人差が大きい。背中など自分では見えない場所にできることもあるので、家族がいる場合は、一緒に観察をしてもらうといいだろう。

“高齢者の病気”というのは誤り

「疑わしい症状が出たら、以後、毎日、観察を続けること。皮膚にわずかでも異変が見られたら、すぐに皮膚科や総合診療科などを受診しましょう」(菊池医師)

帯状疱疹の予防策として、菊池医師は「疲れやストレスをためない」「十分な睡眠をとり、ストレス発散を上手に行う」「バランスのとれた食事を摂る(たんぱく質を多く、糖質・脂質を控えめにすることを意識する)」「糖尿病を持っている場合は、血糖のコントロールをする」ことを挙げる。

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50歳以上であれば「帯状疱疹予防ワクチン」の接種も勧められるという。

「何より、帯状疱疹が“高齢者の病気”というのは誤り。3割は40歳以下で発症しています。 当院でも20代、30代の患者さんが珍しくありません。コロナ禍で人と接する機会が減ったことによる免疫力の低下が要因、という意見もあります」

かかるととんでもなくやっかいな、帯状疱疹。早期発見とともに予防にもしっかり取り組みたい。

本連載では、「『これくらい大丈夫』と思っていたら、実は大変だった」という病気の体験談を募集しています(プライバシーには配慮いたします)。「これはぜひ」という体験談をお持ちの方は、応募フォームからご応募ください。
狩生 聖子 医療ライター

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かりゅう きよこ / Kiyoko Karyu

1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。

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菊池 大和 きくち総合診療クリニック

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きくちやまと / Yamato Kikuchi

2004年、福島県立医科大学医学部卒。浜松医科大学附属病院にて初期研修医。磐田市立総合病院外科、国立がんセンター東病院呼吸器外科、湘南東部総合病院外科科長・救急センター長、座間総合病院総合診療科などを経て2017年、土日も診療を行う総合診療クリニックであるきくち総合診療クリニックを開業。小児から高齢者まで、救急医療も行い、あらゆる症状を診る「総合診療クリニック」が全国に広がることを目指し、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

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