改善にとりかかるには、頭をリラックスさせて時計の重圧を排除する必要がある。
時計を支配して中断を呼びかけるようになってからでないと、改善は行えない。時間に追われ、締切の重圧を抱えたままでは、改善に必要とされる思考ができない。
口を出したい誘惑に負けてはいけない
改善の際は、自分の限界に挑んで、あらゆる角度からさまざまな視点に立って考えることが求められる。
では、改善はいつ行えばいいのか?
まずは、改善に着手してはいけないタイミングについて説明しよう。チームが献身的に生産やプロジェクトに取り組んでいるときは、赤ワークの真っ最中なので、改善に適さない。
リーダーとして、チームが赤ワークに取り組むのを見ているうちに、改善できる点があると気づいたとしよう。
そうすると、すぐに作業に割って入って口を出し、彼らの「役に立とう」としたくなる。彼らの注意を引きつけて、自分の提案や意見を述べたくなる。
いまそうしなければ、チームは間違った方向に進み続ける、などと考え始めるのだ。
だが、この誘惑に負けてはいけない。
そんなことをすれば、作業の方向性が変わり、無駄が生まれる。作業への過剰な干渉となり、チーム内に不安が生じる恐れもある。
そうではなく、その「いいアイデア」は(ほかの人のアイデアと一緒に)記録しておき、「中断」の時間がきたら、青ワークで検討するようにしよう。
これができるようになるには、秩序と自制が必要になる。
改善は、作業(赤ワーク)を予定どおりに終えたあとで実施しよう。私が艦長だった潜水艦では、改善の時間のことを「批判の時間」と呼んでいた。
その時間はどうしても批判されているような気持ちになるので、厳しい時間になることが多かった。
ただし、乗員の行動が批判されるとはいえ、ルーティンとして改善の時間を設けることに慣れてくると、赤ワークがうまくいった、いかなかったに関係なく、乗員たちは批判を有効に生かせるようになった。
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