ハーレーダビッドソンが熱いファンを作る仕組み 直営販売店がなくても顧客との関係性を構築

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もう1つの関係構築の目的は、【顧客生涯価値】(LTV:Lifetime Total Value)の最大化です。これに補足説明をしましょう。

世界はマーケティングでできている
『世界はマーケティングでできている』(総合法令出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

これから話すことは情報技術の進展によるデータベース・マーケティングが前提になります。マーケティングに関心のない、HDJの昔ながらのオヤジのやっている零細販売店にウエットな人間関係アプローチだけでなく、営業担当は販売店の悩みや相談を真摯に聞き、顧客情報の共有化のCRMシステムを販売店に導入します。

さらに、試乗したりイベントに参加したりした見込み客の情報も加味した、新しい顧客関係性システムの販売店全店への導入により、販売店の新規顧客獲得率や既存顧客の維持・向上が飛躍的に高まり、結果として売り上げと利益は平均的な販売店の5倍の水準に高まりました。HDJと販売店の絆が揺るぎないものとなり、顧客・HDJ・販売店の関係構築が太くなったのはいうまでもありません。

信頼とコミットメントが鍵

関係性マーケティングでは信頼とコミットメントが鍵といわれます。ハーレーダビッドソンの10の楽しみを顧客に約束し、そのHDJのイベントやHDや自分の経験を通じて顧客の「ハーレー・ライフ」の楽しみをずっと続けたいという気持ちがコミットメントです。それはHDJと販売店、顧客の3者の信頼が基盤となっています。また販売店も売り上げを上げ利益をもたらしてくれるHDJにコミットメントしています。

またHDJは顧客には経験価値を、販売店には情報を約束して、信頼を得ています。要は「顧客や関係者との約束、信頼とコミットメント」が重要になります。この信頼とコミットメントを企業と顧客(と関係者)を結ぶ「絆(エンゲージメント)」とよびます。

三宅 宏 アントレプレナー塾塾長

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みやけ ひろし / Hiroshi Miyake

中央区日本橋生まれ。麻布高校卒業後、慶應義塾大学・同大学院修士課程で日本にマーケティングを導入した村田昭治教授に師事する。原理原則の重要性、複眼の発想、道草など人生マーケティングを学ぶ。大学卒業後、キッコーマンに入社。マーケティング企画、広告制作、プロモーション企画、酒類事業本部企画、プロダクト・マネジャーなどマーケティング畑を中心に43年間勤める。2022年に役員を退任し、現在顧問。若手を教える寺子屋塾アントレプレナー塾を2002年に設立。現在、大正大学非常勤講師。

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