OpenAI日本法人に「AWSジャパン前社長」が移籍 4月中旬開設の東京オフィスで重要任務担う?

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2024年1月19日、AWSの日本への投資戦略・方針説明会で長崎氏は、2027年までに2兆円超の巨額投資を行うと表明。「われわれは皆様に信頼される企業として、日本の成長、日本のお客様の成長に貢献したい」と語るなど、今後も同社をけん引するものとみられていた。

ところが2月中旬、3月11日付で長崎氏が社長を辞任することが突如発表された。後任に当たるハイミ・バレス氏の役職が「Managing Director, Japan(暫定)」と記載されていたことからも、唐突な人事異動であった様子がうかがわれ、「何だこれは、と業界がざわついた」(あるビッグテック社員)。

長崎氏の社長退任に関するAWSのリリース
AWSが2月中旬に出した、長崎氏の辞任に関するリリース。辞任の翌日、OpenAI日本法人の職務執行者に就任している(編集部撮影)

長崎氏がOpenAIの日本法人の職務執行者に就任したのは、AWSを去った翌日の3月12日。AWS関係者によると、「長崎氏は今後についてほとんどの社員に明かしていなかったようだが、『もうすぐ日本に拠点を設けるOpenAIに移籍するのでは』という噂は立っていた」という。

AWSからは2022年、執行役員技術統括本部長を務めていた岡嵜禎氏がクラウドインフラ世界2位のマイクロソフトに移籍し、業界の注目を集めた。今回も、マイクロソフトから出資を受けるOpenAIにトップが引き抜かれる形となり、業界により大きなインパクトを与えそうだ。

なぜ長崎氏に白羽の矢?

OpenAIは、なぜ長崎氏に白羽の矢を立てたのか。前出とは別のビッグテック社員は「スモールスタートで日本に参入し、規模を拡大していったAWS時代の手腕を買われたのだろう」とみる。

一方、前出のAWS関係者は「日本のクラウドをここまで大きくした長崎氏の、『テクノロジーの民主化』という一貫した信念がいろんな人に伝わっていたのだろう」と語る。

辞任直前の3月2日、都内で開催されたAWSのユーザーグループ交流会。長崎氏がサプライズ登壇すると、参加者からは大きな歓声と拍手が送られ、社内外からの信頼の厚さをうかがわせた。

セキュリティへの不安を抱かれていたクラウドを、日本に浸透させた長崎氏。それ以上にさまざまな懸念をはらむ生成AIのフィールドでも、辣腕をふるうことができるか。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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