「麺のレシピを先に固め、その麺に合うスープを開発していきました。濃厚豚骨魚介だと二番煎じになるので、動物系オンリーでいこうと鶏・豚・牛のスープを合わせた濃厚な一杯を完成させました」(上野さん)
さらに、このつけ蕎麦のスープを作る工程でとれるあっさりとした一番ダシを応用して中華蕎麦を作り上げ、二枚看板として売り出した。炭火焼きと低温調理の3種類のチャーシューはオープン時から話題になった。
「二郎」に通っていたお客さんがオープン当初から来てくれて、徐々に口コミで広まっていった。その後、ブロガーが訪れ、年末には『TRYラーメン大賞』に掲載され客が絶えなくなった。
場所は土地勘のある多摩エリアで考えていた。このエリアは意外にも濃厚つけ麺の名店が存在せず、勝負するにはぴったりの場所だった。
日常食ではなく、“ごちそう”を作りたい
とはいえ、どの駅からも離れている決してアクセスが良いとは言えない場所。ここに決めたのはなぜか?
「『ひら井』は日常食ではなく、“ごちそう”を作りたかったんです。ですから、特別感を感じられる場所にしたいなと考えていました。うちの麺はゆで時間も長いですし、駅前でないほうがいいだろうと思っていました。
家賃も安く、行列も並ばせやすい場所で、しっかりお客さんがついていますし、これでよかったと考えています」(上野さん)
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