「糖尿病と肥満」実は同じ一つの疾患という真実 かつて言われた「脂質は体に悪い」に根拠はなかった
看護師健康調査Ⅱの結果、「生活習慣」も重要なリスク因子だとわかった。
標準体重を維持し、定期的に運動をし、喫煙をやめ、健康的な食事をしていれば、2型糖尿病の91%は防げるというのだ。
だが、大きな疑問が残る。何をもって〝健康的な食事〟というのだろうか。
ウィレット博士のいう健康的な食事とは、食物繊維と多価不飽和脂肪酸が多く、トランス脂肪酸が少なく、「グリセミック負荷」の低い食事だ。
脂質は体に悪い?
炭水化物は消化されるときにグルコース(ブドウ糖)に分解される。
「グリセミック指数」とは、炭水化物を含む食品を50グラム食べたあとのグルコースの数値の上がり具合を測る指数だ。
だが、同じ一皿でも食品によって含まれている炭水化物の量は千差万別だ。たとえば、標準摂取量の果物に含まれている炭水化物は50グラムもないだろうが、標準摂取量のペイストリーにはもっと多く含まれている。
そこで、標準摂取量の食品に含まれる炭水化物の量にグリセミック指数を掛け合わせて得られる「グリセミック負荷」と呼ばれる数値を使うと、グルコースの上昇度合いをうまく測ることができる。
一般的に、「糖分」と「精製された炭水化物」のグリセミック負荷は高い。「脂質」と「たんぱく質」は血糖値をあまり上げないのでグリセミック負荷はとても低い。
世界中の医療業界では低脂質の食事が推奨されているが、ウィレット博士が勧める健康的な食事は、「高脂質、高たんぱくの食事」だ。博士が勧める食事療法では糖分と精製された炭水化物は減らすが、脂質は減らさない。
1990年当時、脂質は体に悪いと考えられていて、「脂質は大量殺人者」だとか、「悪者」だとか言われていた。「体にいい脂質」などという言葉はなかった。