「糖尿病と肥満」実は同じ一つの疾患という真実 かつて言われた「脂質は体に悪い」に根拠はなかった
ボディマス指数は肥満度を表す標準的な指数で、次のような公式で算出される。
ボディマス指数(BMI)=体重(㎏) ÷ 身長の2乗(㎡)
BMI25以上は過体重、18.5から24.9は普通体重とされている[訳注:日本の場合は25以上を肥満としている]。
しかし、BMIが23~23.9の女性は、BMIが22以下の女性に比べると、2型糖尿病を発症するリスクが360%高くなるという。BMI23.9が普通体重の範囲に入っていることを考えると、これは驚くべきことだ。
1995年、研究者たちはこうした新しい見解を受けて、5.0~7.9キロ体重が増加すると2型糖尿病のリスクが90%高まるとし、8.0~10.9キロ体重が増えるとそのリスクが270%高まるとした。
一方、体重が減少するとリスクは50%以上減るとされた。こうして、体重の増加と2型糖尿病とは密接な関係があるという理論が確立されていった。
さらに恐ろしいことに、「体重が過剰に増加すると、死にいたるリスクが著しく高まる」ともいわれた。
看護師でさえ糖尿病・心臓病が増加
すぐに、これを裏づけるほかのエビデンスも積み上げられることになる。
ハーバード公衆衛生大学院のフランク・スペイザー博士が、1976年に女性看護師を対象にした看護師健康調査を開始した。
これは心血管疾患とがんのリスク因子を研究する最大規模の研究で、長期間にわたるこの疫学調査の対象となったのは、ボストン近郊の12万1700人の女性看護師だった。
1989年には、ウィレット博士が11万6000人の女性看護師を対象にした看護師健康調査Ⅱを開始し、2年ごとにデータをとった。調査が開始された頃は全員が比較的健康だったのだが、時が経つにつれ、多くの対象者が糖尿病や心臓病など慢性的な疾患を抱えるようになっていった。集められたデータを見直すと、こうした疾患が現れたリスク要因がいくつか浮かび上がった。
2001年、ウィレット博士は再度、「2型糖尿病の最大のリスク因子は肥満である」と発表した。