航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情

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防衛省や自衛隊は医学、自衛隊の言う「衛生」を長年軽視してきた。例えば護衛艦や潜水艦の定数に医官が入っているが、現実には乗艦してない。例外は海外派遣任務などだ。部隊の医官の充足率は2割強にすぎない。筆者は歴代の防衛大臣にこのことを質問してきたが、「自衛隊病院に医官や看護官はいるから大丈夫だ」という。

だがそれは医官という「血液」が欠乏しているために部隊という「手足」を縛って血流を止めて、自衛隊病院という「胴体」に血液を集中しているにすぎない。

3月7日の空幕長会見で筆者は「空自にはどの程度航空医学の専門家がいるのか」を質問した。後ほど広報室から「現在約120名いる」という回答があった。だが、空幕が言う約120名は単に航空医学を履修してパイロットの健康診断などが可能な医官数だった。

この120名は約6週間の航空医官課程を履修した医官で、部隊等で通算しておおむね2年以上、航空衛生業務に従事し、航空幕僚長より航空医官に指定された医官の人数である。だがそれはパイロットの診察という航空医学の専門診療ができる資格を有しているだけであって、「専門医」ではない。

一般の医大からみればありえない話

これは運転免許を取得するための最低限の講習と似ている。運転免許を取ったからといって即座に教習所の教官になれないのと同じだ。通常「専門医」とは、専門診療に必要な基本的な講習を受講後、3~4年の専門的な診療を経験し、筆頭での論文執筆や学会発表を行い、試験や審査に合格した者に与えられる資格である。

筆者は「航空機の開発や現在の搭乗員に関する検診の改定などを担当できるような専門知識をもった『航空医学の専門医官』は何名いるのか」と再び問うた。

それに対する回答は次の通りだった。「国内においては、質問のような航空医学に関する学会認定専門医制度は存在しない。航空自衛隊においては、航空業務に関する医学適性や航空身体検査業務等に従事する医官を航空医官として指定しているが、各航空医官の専門性も多岐にわたることから、問い合わせのような医官の人数を提示することは困難である」。

実は防衛医大の教授や研究のレベルも大変疑わしい。実は防衛医大では論文がゼロでも専門研究の実績がない医官を教授に据えたり、専門医や医学博士も持っていない医官を1佐や将官にしてしまう「医学組織」だ。一般の医大からみればありえない話である。

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